パタゴニア皆既日食


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レポートその8 極上の日食 の巻き

雪上車で、1000m登り、ようやく観測地に到着した後、機材設置を行いました。

地面の見えている所を掘り、三脚を2台固定しました。一台はビデオカメラ、もう一台は望遠コンデジ用です。
ビデオカメラには、簡易赤道儀(篠原第二号?)も使いました。探してもコンパスが見つからなかったので、南がわかりませんでした。周囲のヒトに聞こうと思いましたが、私のお隣さんは、私よりもっといい加減で、赤道儀どころか、雲台も持っていない状態で、かなりなズーム撮影をしていました。
(あとで、見ていると、なんと、フィルターなしで、しかも、三脚の長さを変えながら太陽を追いかけています。
私は、機材は多めに用意しており、自由雲台4台に微動雲台4台、フィルターだって4つも持っていました。(多すぎや!)
なので、自由運台に、微動雲台、更に、フィルターも付けてあげました。手作りフィルターですが、ソックスで、すぽっとはめるように作ってあるので、レンズのサイズが多少違っても、使えます。フィルターをつけると、ばっちり、部分蝕の太陽がモニターに映りました。彼らはご家族でコロンビアから来たそうで、とても感激してくれました。)

結局、真南はわかりませんでしたが、まあ何とかなると思い、テキトーにセットしました。
あと、時間を周囲に聞いたのですが、手がかじかんで、設定がうまく行かなかった上、絶対正確と教えてもらった時刻が、結構ずれていたのか、帰国してから調べてみると、1分強も違っていました。(ショック!)

手袋をはめていても、かじかみ麻痺する手で、機材を組み上げた頃には、部分蝕が始まっていました。
当初、風がゴーゴーと吹いていましたが、不思議なことに、皆既が近づくに連れて、風がおさまって行きました。皆既直前になると、殆ど感じない程、静かになりました。



Sony CyberShot
眼下に、凍りつく湖とその向こうに連なるアンデスの山々。
空は宇宙に通ずるように、奥深い色をしていました。
人間の力の及ばない大いなる自然が、太古の昔から造り上げてきた、厳しくも美しいその景観に、畏怖の念さえ覚えました。

日食は順調に進みました。
そして、部分蝕の時でさえ、眼の前の光景は、既に息をのむほど美しいものでした。

これはもう「神の域」かもしれない・・・・。
欠けて行く太陽に面と向かい合いながら、立っているだけで、魂が天に吸われて行きそうな、不思議な感覚でした。

「いや、天に昇るのはまだ早い。黒い太陽を拝まなければ・・・・」



コンパクトデジカメ:Sony CyberShot DSC-HX1 ISO125 f/6.3


皆既直前、金色のダイヤモンドリングが、足元の雪や氷に反射して、きらきらと光りました。
何と綺麗なのでしょう!!

この世の物と思えないような美しさでした。

神様の微笑みを観た気がしました。

山々の上には、巨大な月の影がはっきりと見えました。
皆既部分の外側のオレンジ色の夕景空が月の影に食い込むように伸びており、その先端にダイヤモンドリングがありました。

全身鳥肌の立つような凄い光景でした。




皆既中、コロナは金色に輝き、はかなく優麗な姿の太陽は、月の影の中を、山の稜線沿いにすべって行きました。頭上には星々が見えましたが、それらを同定するのは余りにももったいない行為に思えました。

月の影がはっきり見えているので、皆既のどのあたりかもしっかりわかりました。バッテリー切れで使えなかったPCのカウントダウンは、どのみち要らなかったのかもしれません。

皆既の外側の夕焼け空と、山の一つが、もうすぐそこに迫っていました。

「ああ、もうじき終わる・・・・・・」
左下に山が見えます!(背景をちょっと明るくしてみました)露出の異なる画像を重ねたので、ちょっと不自然かも?(Sony Cybershot デジカメ) ビデオからの抽出静止画です。
(Sony Handycam)


皆既中の様子。皆既の外側がオレンジ色にはっきりとわかります。
(逆に言えば、)月の影がはっきりとわかりました。黒い太陽は、影の中を山の稜線にそって東から西へとすべるように動いて行きました。いや、本当は影が西から東へと移って行ったのですよね。(もちろん、太陽も動いているのですが)
湖面に夕焼け空が映り、これまたうっとりでした。
ダイヤモンドリングの時には、足元の氷(雪)がきらきらしていました。
画像では、とても伝えられないのが残念です。


黒い太陽が月の影の端に近づき、第三接触のダイヤモンドリングになりました。

またまた、きらめく世界。
第二接触より、更に、きらきら感が増していました。
やはり、言葉にはなりません。
ただただ、見とれてしまいました。

月の影から漏れ出た光が、周囲の小さな雲を照らし、山々からの雪煙り?を映し出し、雲が山から湧いてくる様子まで、克明に見せてくれました。

そして、三日月状の太陽は、山に隠れて行きました。


ビデオからの抽出。(Sony Handycam)



ビデオからの抽出 山から雪煙りが・・・・
こちらは、デジカメ



山に隠されて行く三日月状の太陽
(フィルター使用)
フィルターをはずしました。三日月状の太陽が、山に隠れる瞬間、まるでダイヤモンドリングのようでした。
二度おいしい(いや、何度もおいしい)日食でした!


パタゴニアに行って本当に良かったです!
神様 ありがとう!

そして、太陽と月が丁度同じ大きさに見える位置にある奇跡と、これらの天体、太陽と月とそして地球とに、深く感謝せずにはいられません。

感動をありがとう!


2010年皆既日食レポート その9に行く?(映像を一つだけ公開)

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