パタゴニア皆既日食
レポートその6 日食当日 の巻き
日食は夕方からですが、この日も真っ暗なうちに出発です。 氷河観光を先にするのです。 それでも、こんな暗い内にでかける事はないのに、と思いました。 ゆっくり、日食に臨みたいと思うのは、私だけでしょうか?? あああ、体がおもーーい。 機材もおもーーい。 日食の用意も持って、観光におでかけです。まあ、機材はバスに置いて観光したら良いのですが、バスに乗っている間、かなり邪魔なのです。 重い荷物と重い体をひきずって、バスに乗り、長い一日の始まりです。 バスは広大な大地をひたすら走って行きます。もちろん、街灯などありません。街灯が必要なほど人間は住んでいません。パタゴニアの拠点である、エル・カラファテでさえ、人口はわずか、4000人だそうです。 それに、動物達の生態系を崩さないためにも、灯りはできるだけ、消すようにしているとの事。バスの中も、消灯して走って行きました。 これで、寝られる・・・と思ったのですが、全然眠くありません。眼が冴えてたまらないほどです。 時折、バスのヘッドライトに、うさぎやきつね??、鹿???などが、照らされます。 窓からは星が見えます。通路越しの親子(と言っても、子供も成人ですが)が、星座早見盤を見ています。 と、バスが停まり、平原で、星空観察の始まりです。平原の雪は深くはなく、20p程度でした。ザク・ザクっと、表面の氷を砕く音が聞こえます。風が静かな証拠でした。大気はひんやりしています。私は、殆ど聴いていませんでしたが、ユーロアストロ協会会長のジャンが、星空案内をしてくれました。 オリオン座、シリウス、カノープスが見え、大小マゼラン雲が頭上にぽっかり浮かんでいました。 このまま雪の上に寝転がって星空を見たいとも思いましたが、そんな事をしたら、永遠に眠ってしまいそうでした。 |
その後、バスはまた走り、ペリート・モレノ氷河に着くころ、丁度、夜明けの時刻になりました。 アンデスの山々が頂上から朝焼けに染まって行きます。そしてその山々が長い時間をかけて造った氷河が、眼下に広がっていました。なーるほど。こりゃ凄い! 山に堆積した雪が氷となり、圧縮され純度が高くなるために青くなる・・・との事です。 本当に、青いんです。 青い氷の柱が無数に集まっているようにも見えました。それぞれが水面上で50-60mもあるそうです。奥側(山側)に行くと、氷河の高さ(深さというのでしょうか?)250m から350mもあるのだそうです。ひょえーー。 そして、それら、高層ビルにも匹敵する(以上か!)無数の氷の柱が、私達の眼の前で、幅5kmの青い壁を作っているのでした。 ペリート・モレノ氷河だけで、長さ30km 面積195平方km あります。 この氷河はロス・グラシアス国立公園の一部で、この公園全体が世界遺産にも指定されています。(当然です!!) 夏には遊歩道がいっぱいになるほど、観光客が来るようですが、今は冬。ひと気がありませんでした。私達だけが、遊歩道を闊歩していました。 あまりに、人がいないので、氷がピチピチ言う音や、水の流れる音が聞こえます。 かわゆい鳥達も、触れられる程近くに居ました。 ここの氷河は世界でも進度が速く、年間平均100〜200m も移動するそうです。 (それでも同量分形成されているので、氷河全体としたは痩せてないとの事。安心しました。) 冬でも時々崩落があり、その音は、雷のようで、とても迫力がありました。 遊歩道のルートはいくつかあり、全て歩く必要はなかったのですが、勢いで、端から端まで歩いた上に、行きつ戻りつ、歩き回って、結局、自由時間の2時間強??、ずっと歩き続けてしまいました。 人はある一線を越えると、感覚がマヒするのか、あるいは、得体知れないパワーが出てくるのでしょうか? 疲れも何も感じないぐらい、壊れてしまったのかもしれません。 昼前にバスは出発です。皆は、休憩所で温かい物を飲み食いしていましたが、私には、そんな時間はありませんでした。ただ、トイレだけ、一応(行きたい訳ではなかったけれど)行っておきました。あとで思うと、この時、トイレに行ったのは大正解で、このあと、日食後ホテルに戻る夜10時半まで、トイレなしの状態が続きました。(得体知れないパワーだ!) ちなみに、デジカメのバッテリーが寒さで???使えなくなってしまいました。 |
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バスは、パタゴニアの平原を、エル・カラファテへと戻って行きました。 凍った湖の上で、地元の皆さんがスケートをしていました。子供もお年寄りも、このシーズンの余暇と運動は、スケート(とスキーもあると思いますが)だけとの事です。 添乗員のメラニーとおしゃべりしながら、 「メラニー、あなたってドイツ人らしくないわよねえ。陽気で楽天的で、いつも笑ってる。」 「そういうあなたこそ、全然日本人らしくないって。陽気で、楽しそうに、いつも笑ってる!!」 「そうね。私達はいつも、笑ってる!!!」 そう言いながら、私達は大笑いしました。 やっぱり、壊れてしまったようです。 笑いが止まりません。 あと、数時間で日食でした・・・・。 |
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