オーストラリア観望旅行
その5

★ 黄道光
 星も明るいが、黄道光もとても明るい。
 左の画像は、小田様にお借りした16o魚眼レンズで撮影したもの。
 コントラストを上げたりしていない。
 明るすぎて、星が見えない。ここの光害は黄道光だった。
 たどって行くと天頂あたりまで、伸びている。

 中央の明るい星は火星。その右上にクジラのしっぽのデネブカイトスがある。
 右上から火星の脇に延びる筋は、丁度通った人工衛星だ。
 (小さくてわからないかな?)
 


木星: 私の周辺では、冬の空は、透明度が良い時に限って、シンチレーションがきついという、どうも変な偏見があり、オーストラリアの凍りつくような寒空で見る惑星にはあまり期待していなかった。 しかし、木星に向けた望遠鏡を覗いて、仰天した。
ナンジャ・コリャー!!縞が一杯。フェストーンもうじゃうじゃ見える。  現地としては、まだまだのシーイングという事だが、木星は高度が高い事もあり、日本で見る最高の木星よりも、ずっと模様がわかる。 ここの最高の時は一体どんなだろう?


★アンタレス伴星プロキシマ他
木星の模様ががこれだけ見えるのだから、二重星も分離しやすい筈。
アンタレスの伴星は日本でも自宅他から見たことがあるが、ここで見せて頂いた伴星は、えらく離れた所に見えた。
日本では高度が低いのでかなり難物の一つだが、ここでは高度が高い所為と、シーイングが良い所為もあり、易々と見えた。もっとも明け方だったので、高度は、結構低かったか?とにかく分離という言葉が滑稽に思えるほど、離れて見えた。
日本で見て来た限りでは、伴星は明らかに緑色の印象だったが、今回の伴星は、日本で見るより青白く思えた。スペクトルは、B3だから、こちらの方が、より事実に近いと言えるのかもしれない。それでも、主星の赤色と伴星の青緑の対比はやはり美しい。

オーストラリアまで来て、二重星を見るのはどうかと遠慮していたが、アンタレスで気をよくして、翌日(5日めだったかな?)、夕方にシリウスに挑戦してみた。シリウスの伴星は今7秒以上離れており、条件さえ良ければ絶対に見える自信があった。日本でも見たことがあるし、以前ほど超難物ではなくなっている。大気の安定は明け方の方が良いが、この時期、シリウスは7時前まで昇って来ないから仕方がない。
夕方見るとなると、皆にも迷惑がかかるようで、本当に気が引けた。機材の設置も光軸調整も急がないといけない。

実際、設置したばかりで、コンディションとしては最悪の中、沈むシリウスの伴星を見ようというのは、やはり無謀だった。
シリウスがギラギラめらめらして、しかもリムの色が若干分離していて、これでは、見える訳がないが、諦めきれなかった。
で、その翌日も試してみたが、同じだった。残念。

シリウス伴星は無理だったが、代わりに、最終日にプロキシマ・ケンタウリを安田さんに見せてもらった。ご存知、太陽系から最も近い星だ。αケンタウリ(リギル)の伴星で、リギルには1等星の明るい第一伴星がいるので、プロキシマは第二伴星となる。リギル主星Aと伴星Bは、望遠鏡ではっきりと二重星とわかる、ほぼ等光二重星で、大変美しい。ふたご座のカストルに似ているが、更に明るい。
帰国してから調べてみたら、リギルもカストルも離角は4秒強だ。 
一方、プロキシマは主星から角距離で2度も離れているらしい。赤色矮星で、暗い上に、主星から離れすぎているので、人間ナビゲーターの安田さんをもってしても、特定するのは大変だった。
見ればどうという事のない地味な星だが、お隣の星と思えば、感慨も深い。

★ その他
南天ならではの天体はまだまだ山ほどある。「その他」なんて、ひとくくりにするのは、余りに無礼で、勿体無いが、そろそろHPも仕上げないといけないので、ハショッテ行くとする。

オメガ星団: 日本でも見れない訳ではないが、南の低空なので、どうしてもショボくなる。
オーストラリアで見たオメガ星団は「威風堂々!」(耳元でエルガーの曲が聞こえて来るようだった!) 40cmで見ると、ド迫力!凄すぎ! 
David の友人がコンパクトデジカメ、それも三流メーカーの安コンデジで手持ちコリメート撮影できて、更に驚いた。

NGC104: 小マゼラン星雲のそばにある球状星団だ。私にとっては、初物だ。
オメガ星団が男性的なのに対し、NGC104は女性的で、女王の風格があり、美しくゴージャス!
こちらも見飽きない。

南天の空には、王様と女王様がいて、宝石箱があり、十字架があり、そして、タランチュラやさそりがいて、これらだけでも、物語ができそうだ。「華麗なる星族!」(全然違うし!)
とにかく、南天には、物語の要素になりそうな、ユニークな天体が山ほどある。

タランチュラ星雲: 大マゼラン星雲の中の大きな星雲。
その名の通り、本当に不気味に見えた。名前が違っていれば、その印象はもう少し良いものになったかもしれない。
OVフィルターを入れると、更に毒々しさが増す。 何だか、つばを飲み込むのも怖くなる。
周囲に望遠鏡をふってみると、回りにも星雲が沢山ある。 密林の中に蜘蛛の巣がふわふわしているような気がして来た。どうしても、タランチュラのイメージが頭から離れない。

宝石箱: ここで、気分を一新する為に、宝石箱に行くとしよう。
調べればすぐにわかるのだが、全然勉強しないで来てしまったので、その小ささにまず驚いた。 だって、すばると並び称されたりするのを聞いた事があるから、すばるぐらいでかいかと思ってた訳。
アイピースを覗いた瞬間は、本当に、宝石箱を開けたような気分だった。
ぅわあぁ〜!!メッチャきれい!! ダイヤモンド、ルビー、サファイア・・・色とりどりの宝石がこぼれ落ちて来るようだ。
光り物の好きな女性たちには、タマラナイ。 (私はスワロフスキーには大いに興味があります。)
こんな星団も北天では見たことがない。 やはり、南天は素晴らしい。

ガム星雲: 個人的には、さして興味惹かれる対象ではなかったが、トラさんがガム星雲研究にハマッていたので、私もちょっと見せてもらった。 無数の星の海の中に淡い星雲が広がる。 樹海に、静かに拡がる靄を追いかけて、迷子になってしまう。
トラさんは、この巨大な靄の地図を描く、伊能忠敬になっていた。
トラさんのシュワルツ150ツインは、ガム星雲のような大きな対象には、持って来いで、レーザーポインターのファイダーで、その形をたどってくれた。 星空に地図が描かれる。 巨大だ! 一体何度あるのだろう? (検索結果: 20度とか40度とかいろいろで、良くわからなかった。泣)

まだまだ、沢山の天体を見たし、とても書き足りないのだが、ひとまず、この辺りで止めておこっと。 (NGC・○○・・とか全然覚えられないし・・・・これからまた忙しくなるので、載せるなら今のうちなの。)

その6へ

その1 出発前
その2 道中から現地
その3 天の川他
その4 ηカリーナ星、グリーンフラッシュ他
その5 黄道光、二重星、他 南天名所
その6 お別れ、スナップショット
その7 一眼デジでの失敗画像


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