オーストラリア観望旅行
その4

★エータ・カリーナ星 (カリーナ エータ星)
エータカリーナと聞くと、あの美しいカトレアのような星雲(NGC3372)と、もう一つ、ハッブル宇宙望遠鏡による、エータカリーナ星(Eta Carinae星)爆発痕(殻)の星雲画像を思い出す。ちなみにカリーナは「竜骨座」なので、エータ・カリーナは竜骨座η星の星を指すのだが、この星の辺りに広がる星雲なので、NGC3372をエータ・カリーナ星雲と呼んでいるようだ。「竜骨座η星星雲」では、何か武骨な感じさえするのに対し、エータ・カリーナという響きは、美しい乙女を想像させる。調べてみると、”我々から8000光年ほど離れた所にあり、太陽の100倍以上の質量を持つ爆発型変光星。150年前に超新星爆発級の爆発を起こしたが、崩壊を免れ、今後更に大爆発を起こすと見られており、その際は月より明るく見えるだろう”との事。(日本惑星協会・ハッブル宇宙望遠鏡が見た宇宙 他より引用)

南天初体験の私にとっては、巨大なカトレアの方を見るだけでも、充分満足行くものだったが、エータ星の小さな爆発痕(って言うんだろうか?膨張殻)まで、見られるなんて、何とエキサイティング!!一般の写真では殆ど見たことがない。恒星とNGC3372の光に埋もれて、なかなかわからないのかもしれない。これが生で見られるというのは、正に観望の醍醐味だ!

発端はトラさんの一言だった。「エータ・カリーナ星に、もやっとした物が見える!」
え?うそうそ。何?ホント?見たい見たい・・。まさか・・・・
本当だ!淡いオレンジ色の星雲が見える!!
ハッブルでしか見えないかと思っていたけど、こんな所でもはっきりと見えるんだ!
トラさんが帰国後名付けた(?)「ドラミちゃん(クリオネ)星雲」は、まさにハッブルが捉えた、爆発星雲だ。
ハッブルの画像のように、ダルマのような形をしているが、ハッブルよりも色がきれいで、生の味を感じる。
η星自身、相当おいしそうなオレンジ色をしているが、星雲は薄オレンジで、品良くおいしそう。
こんなの初めて!!
150年前に爆発しても、なお美しく輝くエータ星の、眩い光に埋もれてしまいそうな淡い星雲だが、そのヴェールは、エータ星の瞳をうるませているようにも見える。壮絶な死に向かう、美しい乙女の最期の潤んだ瞳なのかもしれない。(な〜んちゃって・・・)

じっと見ていると、小さな星雲の中に黒い模様?も見える!!
η星の首元?にはダーツ状(スカートなどのつまみ縫いの部分)の黒い部分が見えた。(気のせい?)
トラさんがゾッコンなのが、良くわかる。望遠鏡にかぶりついて、放さない。
(40cm望遠鏡は2台あるから大丈夫。)
私もすっかり一目ぼれだ!
帰国してからも忘れられない。もう一度、ηカリーナに会いたい!
★夏の大三角
南十字星がぼちぼち沈もうかという頃、ふと振り向くと、夏の大三角が地平線すれすれに見えた。
うーん。これも変。逆様にはなかなか慣れそうに無い。
ベガとアルタイルのランデブーも、いつもなら天高く大いに目立つ逢う瀬となるのだが、ここでは、ベガは、しおらしく控えめで、出てきたかと思うと隠れてしまう。

また、2時間たっても、白鳥は昇りそうで、全然昇ってこない。地平線すれすれを右から左に横滑りして行く。罠にかかって飛びたてない哀れな鳥みたいだ。

ちなみに、手持ち双眼鏡(10x42だと思うが。)で、網状星雲が見えた。
高度が低いので、条件的には、不利なのだが、にも拘わらず、小口径双眼鏡で見えるとは、さすがだと思った。

★天の川と月光。

星灯りで目では見える地上の風景だが、写真で撮ろうと思うと、なかなかうまく行かなかった。
夏の大三角と天の川+秋野原を撮るのに、フラッシュを焚く訳にもいかない(焚いても光が届かないし)と思っていると、突然、右手からフラッシュの様な強烈な明かりが点いた。誰かと思えば、三日月だった。(だからぁ、25日月だって!)
明るい!眩しい!
しかし、不思議なのは、天の川はそれでもよく見える。月光が拡散しない。昼間、太陽のそばでも月が見えたのと同じだ。
月の光で、地上の景色が良く見えた。お陰で、写真も何とか撮れたが、一部、薄雲がかかってしまった。

★グリーンフラッシュ・ブルーフラッシュ
初日は興奮したまま、あっと言う間に過ぎて行った。皆は馴れているので、各々好きな場所で爆睡していた。私も少し寝ておこうかと、日の出前にようやく寝床を探したが、あれ?ソファもベッドも早いモン勝ちだから、空いていない。まあ、暖かいだけでいいやとバスに乗り込み、座席で寝ようとしていたら、「朝だ!朝だ!」の声。朝だからこそちょっと寝たい気分なのに・・・・と思っていたら、皆、双眼鏡と椅子を持って、跳び出して行く。「グリーンフラッシュを見るんだ」って。
そっかあ。でもそんなに簡単に見える訳がないと懐疑的になりながらも、一緒にくっついていく。
天文雑誌でお馴染みの双眼狂教祖小田さんが、双眼鏡を貸してくれた。Canon 10X42LIS。夜中にもお借りしたが、本当に見易い。
どこから朝陽が出てくるのか良くわからないけれど、皆の隣に座って、この辺りだろうというポイントで、釣りでもするかのように、息を殺して待つ。
双眼鏡で太陽を見る怖さもあり、スリル満点だ。
空が明るくなって来たと思った瞬間、出たあ!!グリーンフラッシュだ!
凄い凄い。
でも、すぐに双眼鏡から目を離さないと、両目丸焼きになる。
興奮とスリルで、心臓がバクバクしてまう。
初日からグリーンフラッシュが見れるなんて、超幸運!っと思っていたら、何と翌日も見えた。
こんなに、易々とグリーンフラッシュが見れて良いんだろうか?
もう、グリーンフラッシュは、当たり前のような気がして来た。
で、次の日はもう皆余裕になっていた。というか、私以外は、この地で何度もグリーンフラッシュを見ているに違いないから、最初から余裕だったのかもしれない。三原さん他カメラも出している。私も色気を出して、真似してみようと思ったが、手元にないので、デジカメムービー?いや、無理に決まっている。
置くだけ置いてぇ・・双眼鏡を覗いた瞬間右側に、何か青っぽい光が!
えーーッ!うっそー。ブルーフラッシュ????ちゃんと見てなかった!!!
ぃやーーーん!しっかり見たかったぁあああ。
青が緑になり、グリーンフラッシュが見えても、ブルーフラッシュの直後では、もはや色あせて見える。
安田さんに、全員見た?と聞かれたが、はっきり見たとは言えなくて、うつむき加減になってしまった。
が、三原さんが、何とブルーフラッシュ撮影に成功していて、何だか元気が出てきた。
自分が撮影した訳でなくても、「ヤッター!」という気分で、俄然、嬉しくなった。(→これ!凄いでしょ!)
世界的にも珍しいショットだろう。学術的にも意義があるかもしれない。
三原さん。お見事!

いやあ、それにしてもここは凄い。グリーンフラッシュのみならず、ブルーフラッシュも見えてしまうのだから・・・。

三原さんが捕らえた、ブルーフラッシュの瞬間です。
ご本人より、許可を得ての掲載です。
転載は固くご遠慮下さい。

こんな物、よく撮れるものだと感心してしまいます。
現地の朝。
太陽がこの高さ(調べてみたら、高度6度)でも、ギラギラしている。
この太陽を双眼鏡で見てしまったら、丸焼き確実だ。
冬なので、朝陽は暖かくてありがたいが、夏、朝からこれでは、さぞかし暑さも強烈だろう。

その5へ

その1 出発前
その2 道中から現地
その3 天の川他
その4 ηカリーナ星、グリーンフラッシュ他
その5 黄道光、二重星、他 南天名所
その6 お別れ、スナップショット
その7 まだろくに現像もしていない画像類


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