今月の星空  〜初心者向け

2004年2005年2006年2007年以降 の分はそれぞれにリンクしています。


2003年11月後半から12月の星空をご案内しまーす。
火星がまだ南の空に光っていますが、0等星で、そろそろお別れを告げようとしています。
夏の大三角形も完全に西にかたむき、反対に、にぎやかな冬の星座が東からのぼって来ます。
天頂から西にぺガススの四辺形が見えます。
冬は一等星が多く、全天で21個しかない一等星のうちの8個(カノープスを含む)が冬の星座にあります。
すばるを先頭にこれからにぎやかな星空パレードが始まりです。

↓星図は株式会社アストロアーツのステラナビゲータを利用しました




↑2003/11/16/22:00  12/1/21:00  12/15/20:00 の星空です。 (StellaNavigator/AstroArts Inc)
大阪府高槻市の設定ですが、関西地方はもちろん、全国的に言っても、大方こんな風に見えます。
(視野全体が緯度や経度分、ずれる事になります。)

シリウス(恒星) おおいぬ座にある、全天の恒星の中で最も明るい星で、-1.5等です。太陽系からは8.6光年の所にあり、近所の星と言えます。
プロキオン
(恒星)
こいぬ座の一等星です。「プロキオン」というのは「犬の前、犬のさきがけ」という意味から来た名前で、シリウスの直前に出てくることから、そういう名前がついたのでしょう。
ベテルギウス
(恒星)
オリオン座は四つの星が長方形にならんでいて、とても分かりやすい星座です。その四つの星のうち、左上の赤い星が「ベテルギウス」です。源平合戦の赤い旗が源氏方なので、「源氏星」と呼ばれる事もあるそうです。
リゲル
(恒星) 
オリオン座の四角を形取る星のうち、右下に見える白い星がリゲルです。ベテルギウスの「源氏」に対して、「平家星」と呼ばれたりするようです。
冬の大三角
(星のならび)
シリウスとプロキオン、ベテルギウスの3つの星をつないだ三角を「冬の大三角」と言います。冬の大三角の中心にも、天の川が流れています。夏の天の川に比べると、とても淡いです。
オリオン大星雲
(星雲)
オリオン座の三ツ星の下に、小さな星が、たて一列に3つならんでいます。 この「小三ツ星」の中心の星の辺りは、望遠鏡で見ると、鳥がつばさを広げたような形をした、雲のような物が見えます。これが有名な「オリオン大星雲」です。とてもきれいで、すばる同様見飽きない美しい天体です。
すばる
(星の集団)
清少納言に「星はすばる」と詠まれたり、車の名前になったり、はたまた歌でも有名な「すばる」が東の空に昇っています。
すばるは若い星々の集団です。肉眼でも5〜6個の星がかたまって見えます。 肉眼でもきれいですが、双眼鏡で見ると青い星がいくつも輝いていて、さすが美人姉妹とよばれるだけの事はあります。すばるは日本の名前ですから平仮名で書きましょう。
カシオペア
(星座)
2等星と3等星の星が5個並び、「」逆さまだと「」の形に見えるのが、カシオペアです。
カペラ(恒星) カシオペアの東に黄色く輝く明るい一等星があります。カペラです。カペラは一等星の中では最も北にあります。
ぺガススの四辺形
(星のならび)
下の星図を見てください。天頂付近にきれいな四角にならんだ星がありますね。これがぺガススの四辺形です。ぺガススという羽の生えた馬(知ってるかな?)の体の部分になります。
アンドロメダ大銀河
(銀河)
ぺガススの四辺形の北東の位置、アンドロメダ座のひざ先の所に、アンドロメダ大銀河があります。2000億個〜3000億個の星の集団です。暗い空であれば、ぼおっとした物が肉眼でも見えますよ。
フォーマルハウト
(恒星)
火星の南に、「フォーマルハウト」という一等星が見えます。秋の星座は明るい星が少なく、フォーマルハウトは唯一の一等星です。
夏の大三角
(星の並び)
西の空に「デネブ」という星があります。白鳥座の一等星で、白鳥のしっぽの部分になります。
「ベガ」と「アルタイル」と「デネブ」をつなぐと、直角三角形になります。
これを「夏の大三角」といいます。都会の空でもよく見えますよ。

おまけの話

ベテルギウスは超肥満!
オリオン座のベテルギウスは、表面温度が低いので、赤く見えます。年老いて、不安定になった赤色超巨星の変光星なのですが、太陽の直径の700倍から1000倍の大きさの間で、風船のようにちぢんだり、ふくらんだりしているそうです。肥満でダイエットとリバウンドを繰り返している星みたいですよね。ちなみに明るさも0.4等から1.2等ぐらいまで変わるそうです。
秋から初冬の星団や星雲、銀河、天体(下記以外にも、山ほどありますが、極めてメジャーなものを挙げておきます。)

二重星団(散開星団 ペルセウス座)
ペルセウス座にあるhx(エイチ・カイ)と呼ばれる星団のペアです。大きさも明るさも似ていてそっくりなペアですが、密集度の高い方がhです。xの方にはオレンジ色の星も見えます。望遠鏡で倍率を上げすぎると片方しか見えず、二重星団の良さがわかりません。40倍以下(接眼鏡の視野にもよりますが)で見る方が良いでしょう。大きめの双眼鏡だととてもきれいで華やかです。(都会ではやはりショボイです。)
(h視直径36分、実直径77光年、距離7330光年 実視等級4.4等 星数350)
(x視直径36分、実直径77光年、距離7330光年 実視等級4.7等 星数300)

M31 アンドロメダ大銀河(系外銀河 アンドロメダ座)
私達の住んでいる太陽系は銀河系という星の集団に入っており、2000億個もの恒星が集まってできています。宇宙には銀河がこれまた2000億個ほどもあると言われています。アンドロメダ大銀河は、お隣の銀河です。お隣と言っても230万光年(光の速さで230万年もかかる距離)も離れています。アンドロメダ銀河にある星の数は2000億とも3000億とも言われており、銀河系よりも少し大きいようです。都会では望遠鏡で見てもほんのりぼうっとした中心核の部分しか見えません。田舎に行くと、肉眼でも見えます。
(視直径191x62分つまり3x1度、実直径13x4.1万光年、距離230万光年、等級4.4等)

NGC253 (系外銀河 ちょうこくしつ座)
南の空の地平線近くに見える銀河です。南天のアンドロメダと呼ばれる見事な銀河です。望遠鏡で見ると、濃い部分と薄い部分がわかります。ただ、南天の低い所にあるので、視界も空も良い所でないと、見事さがわかりません。
(視直径28x7分、実直径8.3x2.1万光年、距離1010万光年、等級8.0等)


M15(球状星団、ぺガスス座)
ぺガススの鼻先にある球状星団です。ヘルクレス座のM13よりひとまわり小さく、密集度が高い星団です。秋に見える天体としては、代表格と言えます。ただ、都会では望遠鏡でも、恒星が少しぼけた程度にしか見えません。
(視直径7.4分、実直径88光年、 距離4.9万光年、写真等級5.2等)

M2(球状星団 みずがめ座)
M15と同程度の球状星団ですが、密集度が更に高く、球状星団としては最も密集している部類です。都会では望遠鏡で覗いても、もはや星団には見えません。
(視直径8.2分、実直径104光年、距離5.2万光年、写真等級5.0等)

NGC7293(惑星状星雲 みずがめ座)
超大型惑星状星雲です。リング星雲と言えば、こと座のM57が有名ですが、これもドーナツの形をしています。巨大なドーナツです。らせん星雲という呼び方もあります。満月の半分ぐらいもある大きさなのですが、残念ながらあまりに広がってしまって、淡くなってしまった星雲です。望遠鏡でも大きすぎて全貌がわかりません。惑星状星雲としては極めて近い所にあります。
(視直径900x700秒つまり15x13分、実直径2.5x2光年、距離580光年 写真等級6.5等)

M45 すばる (プレアデス星団)(散開星団 おうし座)
このページの上の方にも書きましたが、とても有名な若い星団です。この星団を構成する星たちは、生まれてまだ5000万年しかたっていないので、青い色をしています。また、M45全体が、秒速約40kmで宇宙空間を南南東の方向に移動しています。々星間ガスから集団で生まれた星達が、遺書に銀河系空間を旅しているという事です。写真を見ると星のまわりの青いガスがよくわかります。
(視直径100分 実直径27光年 距離410光年 実視等級1.6等 星数130)

M1 かに星雲 (散光星雲 おうし座)
おうし座の牛の角の先の所にある超新星残骸。 西暦1054年に超新星爆発を起こした星の残骸で、望遠鏡でみると、「かに」というより、「佐渡島」の形に見えます。
(視直径6x4分、実直径12.3x8.34光年、距離7200光年 写真等級 8.4等)

M42 オリオン大星雲 (散光星雲 オリオン座)
おうし座の牛の角の先の所にある超新星残骸。 西暦1054年に超新星爆発を起こした星の残骸で、望遠鏡でみると、「かに」というより、「佐渡島」の形に見えます。
(視直径6x4分、実直径12.3x8.34光年、距離7200光年 写真等級 8.4等)

M 35 (散開星団 ふたご座)
ふたご座の足元に視直径28分ほどの大きな散開星団があります。空の暗い所であれば、肉眼でもわかります。
(視直径28分、実直径31光年  距離2570光年 実視等級 5.3等 星数120)

M 36・37・38 (散開星団 ぎょしゃ座)
冬の散開星団トリオで、双眼鏡で流しながら見るのも楽しいです。ふたご座の方から、37・38・36と並んでいて、見つけるのは比較的簡単ですが、3つのうちのどれなのかが、意外にわかり難かったりします。慣れている人なら、ばらつき具合などでわかりますが、都会ではいずれも、パラパラ程度になってしまいます。(泣)
(M36: 視直径12分、実直径13光年  距離3780光年 実視等級 6.3等 星数60) 
(M37: 視直径20分、実直径27光年  距離4720光年 実視等級 6.2等 星数150)
(M38: 視直径20分、実直径21光年  距離3580光年 実視等級 7.4等 星数100)

シリウスB (シリウスの伴星 おおいぬ座)
シリウスには白色わい星の伴星がついています。8.5等級ですが、シリウスが明るすぎて、なかなか見えません。ただ90年代に比べると離れているので、シーイングや条件さえ良ければ、10cmの屈折望遠鏡で十分に見る事ができます。
(連星角距離6.07秒 位置角119.7°)

プロキオンB (プロキオンの伴星 こいぬ座)
シリウスBを紹介したついででご紹介しておきます。プロキオンも白色わい星の伴星を連れています。10.3等です。
(角距離 4.15秒 位置角 97.0°)


参考資料:誠文堂新光社 「天文年鑑」、「藤井旭の星座ガイド」、 立風書房 「星雲星団を探す」