今月の星空  〜初心者向け〜

2024年12月から 2025年1月上旬の星空をご案内しまーす。
 (入退院が多くなっています。更新が出来ず申し訳ありません。 今後、更新が難しいかもしれません。ご了承くださいませ。)
今月の星空惑星
12/01 日 新月 
12/06 金 水星が内合
12/08 日 土星食、木星が衝、土星が東矩 
12/09 月 上弦  海王星食
12/14 土 ふたご座流星群が極大
       プレアデス星団の食
12/15 日 満月(コールドムーン) 
12/21 土 冬至
12/22 日 こぐま座流星群が極大 
12/23 月 下弦
12/25 水 スピカ食、 水星が西方最大離角 
12/31 火 新月 

GLOBE at Night   12月22日(日)〜12月31日(火)ペガスス座 / ペルセウス座   

12/8 に土星が月にかくれる土星食があります。東北から四国、沖縄などで見られます。
詳しくは こちら(国立天文台) をご覧ください。 
12/14 にふたご座流星群がピークを迎えますが、15日が満月なので、条件としては良くありません。
12/22 のこぐま座流星群も下弦前の月があり、あまり良い条件とは言えません。

今月は宵から夜半にかけて、金星、土星、木星、火星などの惑星が見えるので、なかなかにぎやかです。
星座はどうかというと、Wの形のカシオペヤが高くに見えます。 天頂から西の空には、ペガススの四辺形やアンドロメダ座など、ギリシャ神話で活躍する、エチオピア王家の役者達がそろっています。東から天頂には、冬の星々が、にぎやかに、闊歩(かっぽ)しています。すばるもきれいに、輝いています。
南の空にはくじら座やうお座、おひつじ座が見えています。 
冬至の頃で、日没が早いので、夕方から星見を楽しめます。 風邪など引かないよう、防寒をしっかりして、星見をしましょう。



水星: 12/6 に 内合、12/25 に 西方最大離角 になります。 日の出前に東の空低く見えます。
金星; 夕方、西の空に宵の明星としてかがやいています。
火星: 2025年1/12 に小接近となります。かに座に居て、20時ごろに昇って来ます。
木星: 12/8に
になります。 観測好機になります。 
土星: 12/8 に月にかくされる土星食があります。 
     環を横から見るような状態になるので、土星が串刺しのように見えます。来年には真横から見る事になり、環が消失して見える時があります。   
月の満ち欠け       12/1 新月         12/9 上弦         12/15 満月         12/23 下弦         12/31 新月     
国際宇宙ステーションや、宇宙開発 日本人宇宙飛行士が活躍している国際宇宙ステーションが、夕方や朝方、見える事があります。
こちらに経路予報が載っていますので、参考にして下さい。
備考

用語の説明をしておきますね。
東方最大離角(とうほうさいだいりかく): 地球から見て、水星や金星が太陽から東側に最も離れることです。水星や金星は地球よりも太陽の近くを回っているため、太陽の光で、見えない事が多いのですが、最大離角のときは、太陽から離れる分、見やすいということです。勘違いしやすいのは、東方だから東の空かと、うっかり思いやすいのですが、太陽より東側に離れているという事は、夕方、太陽が沈んだあとに、西空に見えることになります。

西方最大離角(せいほうさいだいりかく): 地球から見て、水星や金星が太陽から西側にもっとも離れることです。水星や金星は地球よりも太陽の近くを回っているため、太陽の光で、見えない事が多いのですが、最大離角のときは、太陽から離れる分、見やすいということです。勘違いしやすいのは、西方だから西の空かと、うっかり思いやすいのですが、太陽より西側に離れているという事は、朝、太陽が昇る前に、東の空に見えることになります。

東矩(とうく):これは図でないと説明しにくいのですが、地球の外側をまわる惑星が太陽よりも東側にあり、太陽→地球→惑星をつないでできる角が90度になることです。太陽が真南にある時(南中)に、真東にあるという事になります。太陽が西に沈む時には、ちょうど南にその惑星があるわけです。

西矩(せいく): 地球の外側をまわる惑星が太陽の西側にあり、太陽→地球→惑星が90度になる事です。太陽が南中する時に、西の空にあるという事になります。太陽が東から昇って来る時に、その惑星は南にある事になります。
東矩と西矩は、地球の公転軌道よりも外側を回る惑星(外惑星といいます。)に限り、起こる位置関係です。

外合(がいごう): 地球の内側をまわっている惑星などの太陽系の天体に使う用語で、天体→太陽→地球が一直線上に並んだ状態、
つまり、地球と、水星や金星の間に太陽があるので、地球からは、太陽の向こう側で見えない事になります。
内合(ないごう): 地球の内側をまわっている惑星などの太陽系の天体に使う用語で、太陽→天体→地球が一直線上に並んだ状態、
つまり、地球と太陽の間に、水星や金星が入り、太陽と合うことです。

(しょう):地球の外側をまわっている惑星などの太陽系の天体に使う用語で、太陽→地球→天体が一直線上に並んだ状態、つまり地球から見て太陽とは反対側にその天体がある状態のことです。

(ごう): 地球の外側をまわっている惑星などの太陽系の天体に使う用語で、天体→太陽→地球が一直線上に並んだ状態、
つまり、地球と、惑星の間に太陽があるので、地球からは、太陽の向こう側で見えない事になります。地球の内側を回っている惑星の外合と同じ状態です。
冥王星 冥王星が、惑星から、はずされてしまった件については、こちらをごらんください。

 ↓星図は株式会社アストロアーツのステラナビゲータ(Version11)を利用しました
 星座別 ↓
 主な星の並びや目印、見つけ方を載せておきます。↓
 
 

2024/12/1/21:00   12/16/20:00  12/31/19:00   ごろの星空です。 (StellaNavigator/AstroArts Inc)
惑星については、16日の表示です。
大阪府高槻市の設定ですが、関西地方はもちろん、全国的に言っても、大方こんな風に見えます。
(視野全体が緯度や経度分、ずれる事になります。)


カストル(恒星)52光年  ふたご座の星で、ポルックスと仲良くならんでいるので、一等星のように見えますが、実は1.58等なので、ぎりぎり一等星に入れませんでした。(残念!)
更に、この星、実は1.9等のカストルAと2.8等のカストルBからなる連星で、さらにさらに、カストルA、カストルBともに、それぞれが2つの星からなる連星なのです。そして更にまたこの2つの連星を回るカストルCも連星で、つまり、カストルは六重の連星系になっています。
 
ポルックス(恒星)34光年  ふたご座の一等星で、双子の弟です。普通星座の明るい星から順にα,β・・・と名前(符合)がつけられるのですが、ポルックスはカストルより明るいのに、ふたご座β星となっていて、お兄さんを立てています  
シリウス(恒星)8.6光年  おおいぬ座にある、全天の恒星の中で最も明るい星で、-1.5等です。太陽系からは8.6光年の所にあり、近所の星と言えます  
プロキオン
(恒星)11光年
 
こいぬ座の一等星です。「プロキオン」というのは「犬の前、犬のさきがけ」という意味から来た名前で、シリウスの直前に出てくることから、そういう名前がついたのでしょう。 
ベテルギウス
(恒星)530光年
オリオン座は四つの星が長方形にならんでいて、とても分かりやすい星座です。その四つの星のうち、左上の赤い星が「ベテルギウス」です。赤いので、源平合戦の旗の色から「平家星」と呼ぶ向きもありますが、天文民俗学の北尾浩一氏のお話しでは、そもそも、赤いベテルギウスを「平家星」、青い(白い)リゲルを「源氏星」という、昔からの伝承は無く、逆に、平家の落人は、敢えて、リゲルを「平家星」と呼んだのだそうです。
現在、ベテルギウスを「平家星」と呼び、リゲルを「源氏星」と呼んだりするのは、その色から、過去の伝承を変えたもののようです。
(ベテルギウスについては、おまけの話も下の方に載せています。)
  
リゲル
(恒星)770光年
オリオン座の四角を形取る星のうち、右下に見える白い星がリゲルです。ベテルギウスの「平家星」に対して、「源氏星」と呼ばれたりしますが、上記の通り、伝承を変えたもののようです。 
アルデバラン
(恒星)64光年
 
おうし座の一等星です。アルデバランは、「後に続くもの」という意味です。 「すばる」の後を追いかけているように見えるので、この名前がついたようです。日本でも「すばるのあとぼし」の呼び名があります。考えようによっては、美女姉妹とも呼ばれるすばるの「追っかけ」あるいは「ストーカー」とも取れますね。(笑) 
すばる
(星の集団)410光年
 
清少納言の『枕草子』に「星はすばる」と詠まれたり、車の名前になったり、はたまた歌でも有名な「すばる」です。すばるは若い星々の集団です。
『すばる』 は日本の名前ですから、ひらがなで書きましょう。西欧ではプレアデス星団と呼ばれ、美人姉妹たちなどにもたとえられます。
肉眼でも6〜7個の星がかたまって見えます。 肉眼でもきれいですが、双眼鏡で見ると青い星がいくつも輝いていて、さすが美人姉妹とよばれるだけの事はあります
 
カペラ(恒星)42光年  五角形のしょうぎのコマのような形のぎょしゃ座の一等星です。カペラは一等星の中では最も北にあります。 
アンドロメダ大銀河(銀河)230万光年  ぺガススの四辺形の北東の位置、アンドロメダ座のひざ先の所に、アンドロメダ大銀河があります。2000億個〜3000億個の星の集団です。暗い空であれば、ぼおっとした物が肉眼でも見えます。 
カシオペヤ(星座・星のならび)  2等星と3等星の星が5個並び、「」、逆さまだと「」の形に見えるのが、カシオペヤです。カシオペヤからも、北極星をみつけることができます。(欄外の北極星の見つけ方をご覧ください。  
フォーマルハウト
(恒星)25光年
 
南の空に「フォーマルハウト」という一等星が見えます。秋の星座は明るい星が少なく、フォーマルハウトは唯一の一等星です。 
ペガススの四辺形(星のならび  ペガスス座の馬の胴体の部分になる4つの星をつなぐと四角形になります。これを「ペガススの四辺形」と言ったり、「秋の四辺形」と呼んだりします。ペガスス(ペガサス。星座の名前としてはペガススです。)は羽を持った、空飛ぶ馬です。 
アルビレオ(恒星)
385年
 
白鳥の口先には、「アルビレオ」という、とってもきれいな二重星があります。望遠鏡で見ると、オレンジとエメラルド色の二つの星が並んで見えます。「天上の宝石」とも呼ばれています。観望会に参加する機会があったら、ぜひ見せてもらいましょう。「アルビレオ」とは、くちばしを意味しています。 
デネブ(恒星)
1800-3000光年
 
白鳥座の一等星で、白鳥のしっぽの部分になります。「デネブ」という名前も「尻尾」という意味です。白鳥のでんぶ(お尻の部分)にある『デネブ』です。 
北十字(星のならび) はくちょう座は十字の形をしており、南の空にある南十字に対して、北十字と呼ばれています 
ベガ(恒星)
26光年  
七夕の「おりひめ星」です。
「ベガ」は一等星の元になった星です。この星の明るさを0等として、他の星の等級も決められました。(その後の厳密な調査では0.03等。)ちなみに肉眼で見えるのは、いなかでも6等星ぐらいまでで、1等星は6等星の100倍の明るさで、一等級違うと、約2.5倍、明るさが違います。
  
アルタイル(恒星)
17光年
  
わし座の一等星で、七夕の「ひこ星」です。七夕の物語のとおり、「ベガ」と「アルタイル」の間に天の川が流れています。都会の空は、明るすぎて天の川はなかなか見えません。いなかに行ったら、ぜひ空を見上げてみましょう。  
夏の大三角
(星のならび)
 
「ベガ」と「アルタイル」と「デネブ」をつなぐと、直角三角形に近い三角になります。
これを「夏の大三角」といいます。都会の空でもよく見えますよ。
 

北極星の見つけ方:
北斗七星の7つの星の水を汲む方からA,B,C,D,E,F,Gとして、AB を、約5倍延ばしたところに、北極星が見つかりす。
カシオペヤの5つの星を、A,B,C,D,E として、AB と DE を伸ばした交点から C 方向に、約5倍延ばしたところに、北極星が見つかります。

星団や星雲、銀河、天体(下記以外にも、山ほどありますが、極めてメジャーなものを挙げておきます。)

M81・M82 (系外銀河 おおぐま座)
おおぐま座の後頭部あたりにならんでいる、銀河のペアです。倍率が80倍以下ぐらいなら、二つが同一視野に見え、偶然にも八の字に見えます。
南側(ハの字の右側)がM81で、渦巻きのわかりやすい向きなのに対し、M82は平たく(不規則銀河)中央がくびれており、案国体が入り組んでいます。
(M81視直径27x14分、実直径14x7.3万光年、距離1790万光年 等級7.9等  
 M82視直径11x4分、実直径5.8x2.2万光年、距離1790万光年 等級9.3等)

M1 かに星雲 (散光星雲 おうし座)
おうし座の牛の角の先の所にある超新星残骸。 西暦1054年に超新星爆発を起こした星の残骸で、望遠鏡でみると、「かに」というより、「佐渡島」の形に見えます。
(視直径6x4分、実直径12.3x8.34光年、距離7200光年 写真等級 8.4等)

M42 オリオン大星雲 (散光星雲 オリオン座)
上記の主な天体でも紹介しているように、オリオン座の小三ツ星の真ん中にある大星雲です。星が生まれているところです。
中央に、トラペジウムと呼ばれる重星があり、4つ〜6つ(望遠鏡と条件がきわめて良ければ8つ)の星が、かたまって見えてきれいです。
(視直径66x60分、実直径25x23光年、距離1300光年)

M 35 (散開星団 ふたご座)
ふたご座の足元に視直径28分ほどの大きな散開星団があります。空の暗い所であれば、肉眼でもわかります。
(視直径28分、実直径31光年  距離2570光年 実視等級 5.3等 星数120)

M 36・37・38 (散開星団 ぎょしゃ座)
冬の散開星団トリオで、双眼鏡で流しながら見るのも楽しいです。ふたご座の方から、37・38・36と並んでいて、見つけるのは比較的簡単ですが、3つのうちのどれなのかが、意外にわかり難かったりします。慣れている人なら、ばらつき具合などでわかりますが、都会ではいずれも、パラパラ程度になってしまいます。(泣)
(M36: 視直径12分、実直径13光年  距離3780光年 実視等級 6.3等 星数60) 
(M37: 視直径20分、実直径27光年  距離4720光年 実視等級 6.2等 星数150)
(M38: 視直径20分、実直径21光年  距離3580光年 実視等級 7.4等 星数100)

M45 すばる (プレアデス星団)(散開星団 おうし座)
このページの上の方にも書きましたが、とても有名な若い星団です。この星団を構成する星たちは、生まれてまだ5000万年ほどしかたっていないので、青い色をしています。また、M45全体が、秒速約40kmで宇宙空間を南南東の方向に移動しています。々星間ガスから集団で生まれた星達が、遺書に銀河系空間を旅しているという事です。写真を見ると星のまわりの青いガスがよくわかります。
(視直径100分 実直径27光年 距離410光年 実視等級1.6等 星数130)

ペルセウス座二重星団(散開星団 ペルセウス座)
ペルセウス座にあるhx(エイチ・カイ)と呼ばれる星団のペアです。大きさも明るさも似ていてそっくりなペアですが、密集度の高い方がhです。xの方にはオレンジ色の星も見えます。望遠鏡で倍率を上げすぎると片方しか見えず、二重星団の良さがわかりません。40倍以下(接眼鏡の視野にもよりますが)で見る方が良いでしょう。大きめの双眼鏡だととてもきれいで華やかです。(都会ではやはりショボイです。)
(h視直径36分、実直径77光年、距離7330光年 実視等級4.4等 星数350)
(x視直径36分、実直径77光年、距離7330光年 実視等級4.7等 星数300)

M31 アンドロメダ大銀河(系外銀河 アンドロメダ座)
私達の住んでいる太陽系は銀河系という星の集団に入っており、2000億個もの恒星が集まってできています。宇宙には銀河がこれまた2000億個ほどもあると言われています。アンドロメダ大銀河は、お隣の銀河です。お隣と言っても230万光年(光の速さで230万年もかかる距離)も離れています。アンドロメダ銀河にある星の数は2000億とも3000億とも言われており、銀河系よりも少し大きいようです。都会では望遠鏡で見てもほんのりぼうっとした中心核の部分しか見えません。田舎に行くと、肉眼でも見えます。
(視直径191x62分つまり3x1度、実直径13x4.1万光年、距離230万光年、等級4.4等)

NGC7293(惑星状星雲 みずがめ座)
超大型惑星状星雲です。リング星雲と言えば、こと座のM57が有名ですが、これもドーナツの形をしています。巨大なドーナツです。らせん星雲という呼び方もあります。満月の半分ぐらいもある大きさなのですが、残念ながらあまりに広がってしまって、淡くなってしまった星雲です。望遠鏡でも大きすぎて全貌がわからなかったりします。惑星状星雲としては極めて近い所にあります。
(視直径900x700秒つまり15x13分、実直径2.5x2光年、距離580光年 写真等級6.5等)

M 15(球状星団)
ペガスス座の馬の鼻先に、ニンジンのようにぶら下がる球状星団(浅田秀夫氏著)です。ヘルクレス座のM13よりも一回り小さな、密集度の高い星団です。光害地では望遠鏡でも、恒星と見間違えられそうです。
(視直径7.4分、実直径88光年、距離4.9万光年、写真等級5.2等)

M 2(球状星団)
みずがめ座の三ツ矢マークの西にある球状星団です。こちらも密集度の極めて高い星団です。
(視直径8.2分、実直径104光年、距離5.2万光年、写真等級5.0等)


主な二重星(重星、連星) (というか、みつけやすい重星 あるいは好きな重星?笑)   

ミザールとアルコル  (多重星 おおぐま座)
北斗七星の柄の先から2番目の星・ミザールは目の良い人ならすぐそばに4等星がくっついているのがわかります。この小さい方の星を「アルコル」と呼び、日本では「添え星」と呼ばれています。昔エジプトやアラビアなどでは、軍人になる際、視力検査に使われたそうです。
望遠鏡で見るとミザールにはすぐそばに別の小さな星がくっついています。さらに,ミザールも,まったく同じ明るさの2つの星が互いにまわりあっている連星であることで知られています。

カストル (連星 ふたご座α星)
上記にも書きました通り、カストルは、 1.9等のカストルAと2.8等のカストルBからなる連星で、それぞれも連星の多重連星です。望遠鏡で見ると、白い星が2つ並んでいます。
(主星A:1.9等 伴星B:2.8等   角距離 72秒 周期 467年 ←Wikipedia )

シリウス (連星 おおいぬ座α星)
シリウスには白色わい星の伴星がついています。8.5等級ですが、シリウスが明るすぎて、なかなか見えません。ただ90年代に比べると離れているので、シーイングや条件さえ良ければ、10cmの屈折望遠鏡で十分に見る事ができます。
現在は、伴星(シリウスB)が主星から10秒以上離れ、観望好機です。2022年が最も離れます。
(主星-1.5等、伴星8.5等)

プロキオン (連星 こいぬ座 )
シリウスBを紹介したついででご紹介しておきます。プロキオンも白色わい星の伴星を連れています。10.3等です。
主星0.4等、伴星10等

トラペジウム (6〜8以上の星の集まる重星 オリオン座)
オリオン大星雲中心部にある、多重星。
トラペジウムとは、台形の意味なのですが、4つの星が台形を形作っているところから、そう呼ばれているのだと思います。
通常の望遠鏡ではA(6等)、B(7等)、C(7.5等)、D(8等)の4つの星が見えますが、
大気や望遠鏡のコンディションの良い場合は、E(10.5等)、F(11等)も見えます。
更に超大口径の望遠鏡で大気の状態が良い場合は、G,H、(共に16等)も見えるそうです。

リゲル (連星 オリオン座 )
リゲルも、連星です。見やすくきれいな連星です。
(主星0.1等、伴星6.8等)

アルマク アンドロメダ座γ(ガンマ)星 主星は連星
オレンジ色と青のきれいな二重星です。アルビレオよりも2星が近く、また、色も少し地味かもしれませんが、それでも全天屈指の重星と言えます。
主星の方は角距離0.4秒ほどの所に、6.6等の伴星を持つ連星ですので、アルマックもアルビレオと同様、厳密には3重星となります。
(2.2等-5.0等  角距離 9.8秒  主星A-B  角距離 0.4秒 周期61年 ←Wikipedia )


ダブルダブルスター(それぞれ連星 こと座     
こと座のε(イプシロン)1と、ε(イプシロン)2は、肉眼で見ると、一つ。双眼鏡などで見ると2つに見え、さらに、望遠鏡で倍率を上げると、それぞれが連星になっています。つまり、双子が二組並んでいるのです。かわゆい!
(ε1:  5.0等-6.1等 角距離2.53秒     ε2: 5.2等-5.5等 角距離2.36秒 ) 

アルビレオ
(はくちょう座 β星)
上記の主な天体のところでも、紹介しましたが、白鳥の口先には、「アルビレオ」という、とってもきれいな二重星があります。望遠鏡で見ると、オレンジとエメラルド色の二つの星が並んで見えます。「天上の宝石」ともよばれています。 観望会に参加する機会があったら、ぜひ見せてもらいましょう。「アルビレオ」とは、くちばしを意味しています。

イルカ座ガンマ-星
ひし型の形をしたいるか座の頭の先にあるのが、γ星です。白と青の美しい二重星です。


おまけの話 その1
天の川
七夕で有名なおり姫(こと座ベガ)と、ひこ星(わし座アルタイル)、この二つの星の間を、天の川が流れています。天の川の上を白鳥が飛んでいます。
天の川は私達の住む銀河系の、星の多い部分の姿です。銀河系の円盤の水平部分、特に銀河の中心方向には無数の星が集まっており、これが光の帯となり、天の川が見えるのです。双眼鏡で天の川を見ると数え切れない星や星団が視野をうめつくします。天の川が星々の集まりだという事を実感できます。

こうした天の川を見られるのが、夏だけと思われがちですが、実は、一年を通して、天の川は空に見えています。
まず、地球が銀河系の中にある以上、銀河系は中心方向だけではなく、ぐるりと地球をとりまいていますから、中心と反対方向にも、銀河の水平部分が続いています。中心方向は、いて座やさそり座方向で夏に見えますが、秋にはカシオペアやペルセウス、そして、冬にはぎょしゃ、ふたごの足元、おおいぬ・こいぬ座あたりへと、ぐるり地球を囲む形で天の川はあるのです。

また、夏の星座が夏しか見えないと思うのも、あやまりです。地球の自転とともに、空が1回転するのですから、たとえば、6時に夏の星座が見えれば、12時には秋の星座、朝の6時に冬の星座が見えるわけです。したがって、夏の星座を冬見る事も可能なのです。「おりひめと彦星を見れるのは七夕の時だけ」と思ったら、おおちがい!実は一年中見えるんですね。(調べてみたら、日本の基準点、北緯35度東経135度で、一年通して2星は見え、なおかつ、1/3から1/22には朝夕二回も見えちゃうんです。調べた本人もびっくりです!)
おまけの話 その2

ベテルギウスは当分爆発しない
オリオン座のベテルギウスは、表面温度が低いので、赤く見えます。年老いて、不安定になった赤色超巨星の変光星なのですが、太陽の直径の700倍から1000倍の大きさ(太陽系にあったら、木星まで飲み込む大きさ)の間で、風船のようにちぢんだり、ふくらんだりしているそうです。肥満でダイエットとリバウンドを繰り返している星みたいですよね。ちなみに明るさも0.4等から1.6等ぐらいまで変わります。普通は0.4〜0.8等ぐらいを行ったり来たりしているのですが、数年置きにすごく減光するようです。そして、2006年10月あたりからの減光は著しく、ベテルギウスの隣の二等星(ベラトリクス1.6等)と変わらないほど暗くなったりしました。その後明るさが戻ったのですが、2019年末〜2020年には2等星ほどに暗くなり、その後復活しました。

私達の太陽が46億歳なのに比べ、ベテルギウスはたったの数百万歳ですが、質量が大きいので、もう寿命を迎える星とも言われています。この星の死の瞬間は、超新星爆発になる予定ですが、それが、いつなのかはわかりません。その様子が見れるようになるまでも、爆発から530年かかります。
近年の減光が、ひょっとすると超新星爆発の前兆ではないか・・・ともささやかれたのですが、2021年6月にNature に掲載された研究論文によると、そのようなことはなく、単に塵の雲に覆われていただけだったということが判明しました。
つまり、星が暗くなっているように見えたのは、塵のベールが星を覆っていたからだということです


ベテルギウスの超新星爆発、見たかったなあ!


おまけの話 その3

ふたご座流星群の母天体

普通、流星群は彗星がまき散らして行った小さな塵(ちり)やカスの道を地球がくぐる際に起こります。この、流星群の元になる彗星を母天体と呼びます。
毎年12月14日頃に観測のできる「ふたご座流星群」の母天体は、ちょっと変わっていて、小惑星3200(ファエトン、又は、パエトン)と呼ばれる小天体です。この天体は1983年に発見され、その軌道が、ふたご座流星群の軌道に重なることから、これが母天体だろうと考えられます。

ただ、一般に、彗星は氷を沢山含んでいて、太陽付近にやって来ると、とけて、チリをたくさんばらまいて行く(尾も見える)のに対して、小惑星は岩でできている物が多く、流星群が見れるほど、たくさんのチリをこぼしては行かない物です。(尾もなし)
で、偉い学者さん達の至った結論は、「昔、彗星だったけど、チリになる部分は無くなってしまい、すっかりやせてしまって岩のような部分だけが残ったのではないか」という事です。つまり、彗星の「ミイラ」みたいなものです。
流星群になっているのは、まだ、彗星だった頃にこぼれたチリだろうということです。 
そんな事を考えながら、ふたご座流星群を見てみましょう。

おまけの話 その4

プレセペ星団は渡り鳥!

かに座のM44(プレセペ星団)は520光年ほどの所にある約600個の星の集団ですが、秒速41kmでいっかくじゅう座の方向に、そろって移動しています。星団まるごと移動していて、「渡り鳥星団」なのです。


参考資料:地人書館「天文手帳」、誠文堂新光社「天文年鑑」、「藤井旭の天文年鑑」、 立風書房 「星雲星団を探す」、AstroArts 「星空ハンドブック」、Wikipedia、技術評論社「天体観測手帳2021」、国立天文台ほしぞら情報
掩蔽、接近、宇宙関連、海外の暦等に関しては、友人の今谷拓郎氏や田口勝志のまとめられた情報も参考にさせて戴いております。心よりお礼申し上げます。
表現として、比喩など必ずしも適切ではないものがあるかもしれません。お許し下さい。(文責:あすとろけい)
あすとろけいのトップページ(移転しました)