1時になっても雨音が聞こえていた…。睡眠不足の頭で、仕方ないか〜と半ば諦めた。
そこへリーダーが「起きてる?」とやってきた。そして、わざわざ窓を開けて懐中電灯で外を照らし、「な、雨だろ?今日は中止。」と嬉しそうに言って部屋に戻って行った。ウッ…悔しい!

名残惜しげにもう一度窓を開けて外を見た。
なんと空に星が輝いていた。すぐに男性陣の部屋へ行き、「星が見えるよ!」と告げた。「なんだ、納得したんじゃなかったの…?星は見えるけど山頂はわからないよ。それとも、素晴らしい景色に逢える事を信じて行ってみますか」ということで登ることになった。思わぬ展開に私が喜んだのは言うまでもない。
昨夜のうちに作ってもらったおにぎりをザックに詰め、1時半に尾瀬沼山荘を出発した。霧雨が降っているのに、上空にはたくさんの星が輝いている。「おぅ、スバルも見えるな」と誰かが言った。
星空の下を燧ケ岳を目指して歩くという希望が叶って、私は上機嫌だった。

半分ほど登った頃だろうか、雨がミゾレに変わった。目が暗闇に慣れた頃、笹の葉の上に雪が積もっているのが見えた。何時の間にか上空の星は見えなくなっていた。

休憩すると、みるみる体が冷えてくる。リーダーの指示に従って、面倒でも休憩のときはフリースを着込み、歩き出す時にはまた脱いでザックにしまうというのを繰り返した。
睡眠不足で「眠い、眠い」と言いながら、森林限界近くまで登ってきた。頭で考えているほど登山は楽ではない。道はぬかるんでるし、水溜りもたくさんあって歩きにくい。体は重いし、体調がいいとはいえなかった。

あまり食欲はなかったが、薦められるままに途中でおにぎりを食べた。おにぎりは当然冷たかったが、不思議と力が出てきた。でも、こんな時は温かいココアが欲しい…。ザックの中には冷たい飲み物が2リットル近く入っている。
急な登山道を登り終えると、黄葉した樹に雪が積もっているのが目に入った。

ちょっと早過ぎるが、天然のクリスマスツリーもあった。

ホントにまだ9月だろうか?そう思うと、目の前の風景が信じられなくなる。
〜2003年9月29日-30日:尾瀬沼から燧ケ岳へ〜3                
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