翌朝は3時に目が覚めた。
窓を開けて外を見てみると、予想通り満天の星空だった。一瞬外に出て星の撮影をしようと思ったが、オバケが出たら怖いし、寒いので止めた。
その代り、窓辺にカメラを置いて、20分間の露光でバルブ撮影してみた。アングル的には全然良くないし暗かったが、いい思い出の写真になった。でも、待っている間の20分間は寒かった…。

4時半過ぎ、玄関で待ち合わせていた知人と一緒に下ノ大堀に向かった。着込んでいたので凍てつくような寒さは感じなかったが、木道を歩く度にギュッ、ギュッと霜を踏む音がした。
夜明けが近づくと、霜がガッチリ降りているのがわかった。シラカバは霧氷で真っ白だ。

下ノ大堀には私を含めカメラマンが7人、木道に一列に並んだ。それぞれ三脚にカメラをセットしながら世間話をして光を待ったのだが、みんな何処で撮影するのが一番いいのかわからないと言っていた。
太陽の光が景鶴山を赤く染め始めると、みんな一斉にシャッターを切り始めた。湿原は見事に真っ白で、その上を霧?が流れている。
私は中くらいの霜に出逢ったことはあるが、大霜は今回が初めてだった。
大霜の尾瀬を撮影したいとずっと思っていたのだが、実際に目の前にしてしまうと「凄いな〜」とボーっと見とれている時間の方が多い。銀塩であまり写さず、デジカメで撮影して満足したり…。
落ち着いて撮影出来るくらい、大霜に出逢ってみたい!と思わずにいられなかった。

後ろを振り返ると、至仏山が赤く染まり始めていた。
綺麗だ〜と思って、カメラの向きを変えようとしたら、隣の男性が「そんなありふれた写真を撮る場合じゃないですよ。もうすぐ、そこのシラカバに朝陽が当たるからそれを撮らなきゃ。」と関西弁で言ってきた。
へ?そうなの?…という訳で、このモルゲンロートの至仏山は銀塩で撮りそこなってしまった。写しておけばよかった〜と今は後悔している。
〜2003年10月30日-31日:鳩待峠から尾瀬ヶ原へ〜2      
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