篠原さんの自作
ポンセットマウント 2

篠原さんのポンセットマウント第二作をご紹介します。ドブソニアン望遠鏡は向けたい方向に簡単に向けられ、観望に大変便利ですが、モータードライブ付の赤道儀のように、日周運動を追いかけてはくれませんので、惑星観察など、高倍率で観察する場合、視野から天体が速く逃げて行き、その都度、鏡筒の向きを修正しながら、追いかけなければなりません。こんな時に便利なのが、ポンセットマウントです。ポンセットマウントは、簡易赤道儀で、これを利用することで、日周運動を追いかけて行うドブの方向修正の作業から開放されます。これだけでも、ドブソニアンでの惑星観察や、高倍率使用の対象物にも、ゆとりをもって楽しめてしまいます。

以下、機械オンチの私の説明よりも、篠原さん本人の説明の方が、わかりやすいので、説明文をそのまま掲載します。
なお、余談ですが、ゴミ箱ドブはこちらでお借りして、大阪の小学校観望会などで利用させて頂いておりますため、このマウント製作の際は、肝心のドブが篠原さんの手元にない状態でした。ドブの設計図はお持ちでしょうが、試乗も試運転もなく完成され、観望会に持参されて、こちらから持参したドブを乗せて、ぴったり、きっちり動いたので驚きました。

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製作のきっかけ

ドブソニアンといっても、やはり惑星などを観察することもあります。一人で楽しんでいる場合はいいのですが、小学校などの観望会では、子供達が列を作って待っており、一人でも多くの子供達に、スムーズに観てもらう為には、やはり自動追尾がほしいところです。とりあえず簡易的に星を追尾させて、たくさんの子供達に快適に天体観察を楽しんでほしいと思ったのが製作のきっかけでした。
以前、30cm用のポンセットを製作していましたが、思いのほか快適でしたので、小学校で使う機会のより多い20cmドブソニアン用を作ることにしました。


コンセプト

観望会等の時間を考えると、1時間位は連続して使え、赤経モーター内臓にて、セッティングエラーはドブ側で行なう。あまり大きく重くなくコンパクトで、気楽に使用出来たらいいかといったところでしょうか。よくばりすぎか?
北側ディスク部分です。ギアとディスク部分の伝達は、ホームセンターの波型ゴムをアルミ板に貼り付けています。ゴムの形状がモジュール0.6のギアとピッタリだったので使っていますが、耐久性に問題があります。定期的に交換しないとスリップしそうです。左側のアルミ板はディスクの浮き上がり防止のための部材です。上側にはベアリングを取り付けています。白いツマミを少し緩め下にあるキャップボルトによりディスクにテンションを与えています。巻き戻し時には緩め、本体をすこし持ち上げて戻しますが、ドブが乗った状態なので安全のためには、コントローラーでの、高速逆転モードがいいのかもしれません。据付用に水準器をつけましたが、スペースが無く苦しい取り付けです。
上に乗せるドブを安定して固定させるためにゴムシートとゴムバンドを張っています。センターにはW1/4オスねじを取り付けています。プラットホームには、極軸に向けやすいように黄色のテープを貼っています。プラットホームを持てば一式持ち上がります。本体部分はシナベニア21mmを使っています。重量は量っていませんが、感覚的に5kgほどでしょうか?

ひっくり返してみたところです。3個の脚は各40mmほどの調整が可能です。モータードライブはV社のモーターに手を入れています。そのままだと1回転約10分ですが、ゲンソクギア組を旧品に組み替え、約25分にて1回転としています。あと、モーターケースがでかいので取り付けスペースが無かった為、取り外しました。ディスクには、強度を上げるために3mmアルミ板を貼ってあります。両端にはストッパーの為、ビスを露出させています。三脚センター部分にはW1/4メスねじを取り付けています。

極軸角度は35度としています。北側のディスクの直径は586mmなので、アルミ外周上で1時間にて、約77mmの動きがあれば、追尾可能です。モーターの出力軸は一回転25分ですから、25分で約32mmです。出力軸には、モジュール0.6の32枚のギアしかありませんでしたので、2分の1に落とすために、28/56のギアを組み込みましたが、少し遅いかもしれません。今後、減速のギアを組み替え対応したいと思います。実際、星を追尾させて見ましたが、若干遅れ気味ですが、あるのとないのでは雲泥の差があり、とりあえずこれで使っているあいだ、材料を探すかといったところでしょうか。南側ディスクの押さえとして、アルミ板の先端にベアリングを付けた板を設けています。真ん中のビスを調整することによりテンション調整できます。

連続使用時間は設計上1時間オーバーいけますが、実際ドブを載せた場合、非常に不安定でした。解消するためには、三脚のスパンを大きく取ったり、ドブとの接続方法をより強固にする必要があると思います。ドブとマウントの不動点の差を埋めるために、プラットホーム下部に電源用のバッテリーをバランスウエイトがわりにするとかの対策が考えられます。今後の課題でしょうか。

30分以内の使用であれば、あまり影響は現れませんので、とりあえず、使ってみて今後細部に手をいれていきたいと思います。

余談:後ろ姿が、笑ったかえるみたいです。
20cmドブのスターダストボックスを乗せた所です。バランス的にはポンセットの方をもう少し大きく作った方が、安定感があってよかったかもしれません。収縮式の三脚等で、広がるようにすべきでしょうか。
←写真
今回20cmドブのほうも脚部を変更して、三本足となりました。写真は足のボルトのでっぱりに、ゴムバンドをひっかけて、押さえているところです。これも、もっと確実でスマートな固定方法に、変更したいところです。

写真→
20cmドブを縮めた状態で、乗せてみたところです。修正はドブ側の微動装置か、フリーストップにて行なうことになります。

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おまけのお詫び 
ポンセットはフランス系の人名で、綴りはPoncet です。このページのURLがPonsetになっていますが、ポンとセットできるマウントだし、愛嬌だと思って下さい。

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