ホームズ彗星 大バーストその1 Comet 17P Holmes

ホームズ彗星 Comet 17P は1892年にエドウィン ホームズによって発見された彗星で、公転周期が6.88年という短周期彗星です。
2007年5月に近日点を通過し、07年10月下旬時点で、太陽から約2.4天文単位、地球からは約1.6天文単位の距離の位置を、遠ざかりつつあります。バーストの前日までは、専門家以外は見向きもしない地味な彗星でした。それがアウトバーストを起こして、突然2等級台にまで、明るくなりました。10月23日に17等だったものが、わずか2日間に約40万倍〜100万倍も明るくなった事になります。
これほどの増光は極めて稀で、一躍、世界の注目を浴びる事になりました。

ちなみに、この彗星は1892年に発見された時も、急激に増光して、その時には4等台になったそうです。
また、前回の大バーストの後に再度小バーストも起こしたようなので、ひょっとすると、今回も同じように再バーストするかもしれません。(柳の下に2匹目のどじょうが居るんでしょうか?)
今回、バーストした位置もペルセウス座周辺だったので、一晩中見れて、とてもラッキーですね。
リポート
10月24日午後9時 Comet 17P が7等で観測されたという情報が来ましたが、いくら増光が顕著でも彗星の7等というと、大抵拡散されて実質9等台程度だったりするので、都会のシロウト星見屋としては、「ふーん?」ぐらいでした。
ところが、その後数時間で、3等になり2等台になり、25日の内に最高2.0等の報告まで出て来て、これは「ユユシキ一大事!」と思いました。

一目見たいと思いましたが、25日、26日とも天気もタイミングも悪く見れず。
27日夜にようやく、雲量99%の中、雲のすき間に、見る事ができました。

台風一過で快晴になるかと思いきや、絶え間なく雲が沸いては猛スピードで流れて行き、わずかなすき間がポワっと出ては消える状態で、もし2〜3等の恒星を探せと言われたら、絶対に無理でした。実際カシオペアもペルセウス座もわからなかったのですが、この辺りかと思う部分を双眼鏡で流していると、一瞬の雲の間隙に、明らかに”ヘンな物”が!
恒星でも星団でも星雲でもない、明るい面積体でした。
間違いなくこれだと思いました。
明るい!「なんじゃ、こりゃぁ!」と言いたくなる様な、凄いヤツだと思いました。
その後、深夜になっても雲量は変わりませんでしたが、マンションの踊り場の電球の下で、身を乗り出して、雲間のホームズ君をチョイ見しました。体勢が体勢だけに、じっと観察はできませんでしたが、8X30の双眼鏡で、惑星状星雲のように見えました。

10月28日。
全国的に快晴。夕方仕事中、窓の外の大きな月が恨めしい。
仕事が終って、出かけようと思った時には、空全体に曇があり、やめようか迷いました。
まあ、通常の彗星と違い、田舎まで走らなくとも見えるので、気負いはありませんが、自宅からは見えないので、見るならやはりでかけないといけません。車に軽装備の機材を放り込んで、発車してから、どこに行こうか考えました。(行き先決めてから出かけんかい!)
運転しながら、初めてのポイントに行ってみようと思い立ち、走る事10分。現地到着です。
天気は相変わらず悪くて、昨日同様、たまに空が見える程度でした。当然、北極星は見えませんが、適当に機材をセットして、待っていると少し雲が切れて来ました。よっしゃー。25倍でペンタ75 に入れて見てみると、はっきりとした彗星像が見えました。
やはり、普通の彗星とは全く違いますね。青くもないし、うすらボンヤリもしていない。縁まで結構しっかりとしていて、何より明るい。
下の画像でわかる通り、明るさはほぼ3段階に分かれていて、核風の最も明るい部分が中心からちょっとずれた所に見え、そこから一方の方向に明るい部分が広がっていました。すぐに雲に隠れてしまいましたが、おもしろかったです。倍率を変えようと思いましたが、他のアイピースを忘れたので、撮影に移りました。

ピントに自信がありませんでしたが、月に合わせて良しとしました。
雲が多くて、ちっとも撮れません。撮影となると、極軸も合わせないといけません。北極星周りが晴れるまでじっと待ち、更に彗星を望遠鏡に入れて、雲間を待ちました。
南の方から、雲間が近づいて来たら、スタンバイ。「来い来い!」
ファインダーを覗いて、雲がどいたら、シャッターを切り、雲に隠れるまでの数秒が露出時間になりました。
時に、一秒で雲が来たり、時には10秒ぐらい雲が来ない事もありました。 30秒も開いている時が一度あり、シャッターを止め忘れました。(一番下の画像がそれ!)

徐々に、コア?部分が拡散して、その分明るさもやや減光しているようです。 
↓の画像では、明るい部分が約6分角です。
これからも、しばらく注目ですね。
 
都会だし、大きな月も近く、空は相当白いのですが、さすがに数秒なら、バックも暗いですね。露出8.3秒 3008X2000pixel を2000x1400にトリミング  左の画像の彗星部分だけ切り取ったもの。
露出不足かな?  露出4.7秒 でも核周辺が分かり易いですね。  
機材:
Pentax 75 SDHF (f=500mm) + Nikon D70 + Takahashi EM200
左側の画像は、3000x2000pixel の元画像を 2100x1400 に切り取り、縮小したものです。
元画像はいずれもjpeg です。
撮影日時:上2007/10/28 23:55 中24:01 下23:42
画像の左が北、下が東になります。

10月30日。 小学校の観望会があり、ニコンの20X120の双眼鏡で見たホームズ彗星は、迫力あり、素晴らしかったです。
130mm TOA屈折でも拝見しましたが、双眼の方が鮮やかでした。


11月3日 ド快晴で、透明度は年間で最も良いと思えるほどでしたので、近所のまたまた新しいポイントに行ってみました。前回の近所ですが、暗さは今回の方が上。ホームズ君、大きくなりましたね。その割りに中心部の明るさはさほど暗くなっていないように思いました。
ホームズ彗星を喩える表現は、各人いろいろですが、A国仲間の皆さんの使う目玉焼きが最も近いでしょうか?
核が胚、黄身が明るい部分、白身がその外側。更に、その外側にハロのような物があり、これはまだネーミング未定でしょうか?

とにかく、黄身も白身も大きくなり、南西(画面右上)方向に崩れていて薄くなっています。尾の方向と言えるでしょうか?白身の端も以前ほどではないものの、まだしっかり見えていますね。胚の背後(尾と反対側)がやや暗く、さらに、白身も黄身のすぐ脇は一旦暗い部分があるように思いました。

うちの近所としては、最高の空でしたが、Shinohara さんが同じ機材(ペンタックス75SDHF)で直焦撮影されたので、比較掲載しておきます。場所が違う事が大きいと思いますが、技術の腕も、全然違うのを実感しました。

11月7日の分。でかーーーい。

Shinohara氏撮影 (ちなみにピントはカメラファインダー覗いただけだそうです。)
静岡県掛川市、ペンタックス75SDHF+CanonKissD ISO800 2007/11/3 21:49:42  61秒露出
Chakkiri 撮影(ボケてるし・・・ショック!)
大阪府高槻市、ペンタックス75SDHF+NikonD70 ISO400
2007/11/3/  あれ?何時だったかな? 81秒露出

並べてみます。

10月29日のホームズ君 360x300にトリミング ↑10月29日 3008x2000 を813x596pix でトリミングし、縮小 10月29日 トリミングなし
同じ画角の11月3日分 でかい ↑ 11月3日 11月3日 トリミングなし
11月7日 もうはみでてしまいました。このトリミングじゃだめですね。 11月7日  11月7日のトリミングなし


ホームズ彗星レポートその2に行く(篠原さんの継続観測 この方が見る価値ありです。)

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