今月の星空  〜初心者向け

2008年10月〜11月初旬の星空をご案内しまーす

日没後、木星が西の空で、明るく輝いています。いて座付近にいます。
夏の星座が高々と天頂にあがり、夏の大三角形が星空の目安になります。
田舎の空であれば、天の川がはっきりと見えることでしょう。北東に秋の星座のカシオペヤが見えますね。ペガススの四辺形も見えますね。
東iからは、すばるが上がって来ています。

おり姫(こと座ベガ)とひこ星(わし座アルタイル)の間に、天の川が流れています。天の川の上を白鳥が飛んでいます。都会の空では、ほとんど見る事ができなくなってしまった天の川ですが、いなかに行けば、満天の星々の中に、あわく白い雲のような天の川がみえるでしょう。
天の川は私達の住む銀河系の、星の多い部分の姿です。銀河系の円盤の水平部分、特に銀河の中心方向には無数の星が集まっており、これが光の帯となり、天の川が見えるのです。双眼鏡で天の川を見ると数え切れない星や星団が視野をうめつくします。天の川が星々の集まりだという事を実感できます。

こうした天の川を見れるのが、夏だけと思われがちですが、実は、一年を通して、天の川は空に見えています。
まず、地球が銀河系の中にある以上、銀河系は中心方向だけではなく、ぐるりと地球をとりまいていますから、中心と反対方向にも、銀河の水平部分が続いています。中心方向は、いて座やさそり座方向で夏に見えますが、秋にはカシオペyやペルセウス、そして、冬にはオリオン座、おおいぬ・こいぬ座あたりへと、ぐるり地球を囲む形で天の川はあるのです。

また、夏の星座が夏しか見えないと思うのも、あやまりです。地球の自転とともに、空が1回転するのですから、たとえば、6時に夏の星座が見えれば、12時には秋の星座、朝の6時に冬の星座が見えるわけです。したがって、夏の星座を冬見る事も可能なのです。「おりひめと彦星を見れるのは七夕の時だけ」と思ったら、おおちがい!実は一年中見えるんですね。(調べてみたら、日本の基準点、北緯35度東経135度で、一年通して2星は見え、なおかつ、1/3から1/22には朝夕二回も見えちゃうんです。調べた本人もびっくりです!)

今月の惑星

水星:10月6日に内合(*備考欄をご覧ください) になり、このあとは、朝東天の空に見えます。
金星;夕方西の空低くに見えます。10月2日に三日月と並んで見えます。
火星:10月31日に地球から最も遠ざかります。
木星:南の空低く、いて座のあたりにいます。極めて明るいので、すぐにわかるでしょう。10月9日に太陽の東側90度はなれて(
東矩)、夕方に見えます。
土星:9月5日にとなり、明け方の東天の低い位置に見えます。

月の満ち欠け:
  7日:上弦    15日:満月    21日:下弦    29日新月
  * 中秋の名月は、必ずしも満月とはかぎりません。今年も、中秋の名月は9月14日なのに、満月は9月15日です。
これは、中秋の名月が旧暦の8月15日で、新月から14日めと決められているからです。新月から満月までは平均14.76日であるのに、新月の日から14日と定められている為に、ここでまず、ずれが生じる可能性が高い上、月の軌道は真円でなく、満月自身が、新月から14日とは限らない(むしろ、違う場合が多い)ため、中秋の名月でも、満月ではない事がしばしばあるのです。

流星群: 10月9日ごろ、ジャコビニ流星群が極大になります。



備考(びこう) 用語の説明をしておきますね。
東矩
とうく):これは図でないと説明しにくいのですが、地球の外側をまわる惑星が太陽よりも東側にあり、太陽→地球→惑星をつないでできる角が90度になることです。太陽が真南にある時(南中)に、真東にあるという事になります。太陽が西に沈む時には、ちょうど南にその惑星があるわけです。
内合(ないごう): 地球の内側をまわっている惑星などの太陽系の天体に使う用語で、太陽→天体→地球が一直線上に並んだ状態、
つまり、地球と太陽の間に、水星や金星が入り、太陽と合うことです。


(ごう): 地球の外側をまわっている惑星などの太陽系の天体に使う用語で、天体→太陽→地球が一直線上に並んだ状態、
つまり、地球と、惑星の間に太陽が入ることで、地球からは、太陽の向こう側で見えない事になります。地球の内側を回っている惑星の外合と同じ状態です。

冥王星が、惑星から、はずされてしまった件については、こちらをごらんください。


↓星図は株式会社アストロアーツのステラナビゲータ(Version8)を利用しました





主な星の並びや目印、見つけ方を載せておきます。





↑ 2008/10/1/21:00  10/16/20:00  10/31/19:00の星空です。 (StellaNavigator/AstroArts Inc)
惑星については、16日の表示です。
大阪府高槻市の設定ですが、関西地方はもちろん、全国的に言っても、大方こんな風に見えます。
(視野全体が緯度や経度分、ずれる事になります。)


カペラ(恒星) カシオペヤの東に黄色く輝く明るい一等星があります。ぎょしゃ座のカペラです。カペラは一等星の中では最も北にあります。
アルデバラン
(恒星)
おうし座の一等星です。アルデバランは、「後に続くもの」という意味です。 「すばる」の後を追いかけているように見えるので、この名前がついたようです。日本でも「すばるのあとぼし」の呼び名があります。考えようによっては、美女姉妹とも呼ばれるすばるの「追っかけ」あるいは「ストーカー」とも取れますね。
すばる
(星の集団)
清少納言に「星はすばる」と詠まれたり、車の名前になったり、はたまた歌でも有名な「すばる」です。すばるは若い星々の集団です。肉眼でも5〜6個の星がかたまって見えます。 肉眼でもきれいですが、双眼鏡で見ると青い星がいくつも輝いていて、さすが美人姉妹とよばれるだけの事はあります。すばるは日本の名前ですから平仮名で書きましょう。
アンドロメダ大銀河(銀河) ぺガススの四辺形の北東の位置、アンドロメダ座のひざ先の所に、アンドロメダ大銀河があります。2000億個〜3000億個の星の集団です。暗い空であれば、ぼおっとした物が肉眼でも見えます。
カシオペヤ(星座) 2等星と3等星の星が5個並び、「」、逆さまだと「」の形に見えるのが、カシオペヤ(ア)です。星座の名前としては、「カシオペヤ」が正しい和名のようです。カシオペヤからも、北極星をみつけることができます。
ペガススの四辺形
(星のならび)
ペガスス座の胴体の部分になる4つの星をつなぐと四角形になります。これを「ペガススの四辺形」と言ったり、「秋の四辺形」と呼んだりします。ペガススは羽を持った、空飛ぶ馬です。
フォーマルハウト
(恒星)
南の空に「フォーマルハウト」という一等星が見えます。秋の星座は明るい星が少なく、フォーマルハウトは唯一の一等星です。
デネブ(恒星) 白鳥座の一等星で、白鳥のしっぽの部分になります。「デネブ」という名前も「尻尾」という意味です。
北十字(星のならび) はくちょう座は十字の形をしており、南の空にある南十字に対して、北十字と呼ばれています
アンタレス(恒星) さそり座の一等星です。「さそりの心臓」という異名も持っています。 火星は別名アーレスと言われますが、アンタレスというのは、Ant-Ares つまり「火星でない」とか、「反火星」とか、「火星に対抗するもの」という意味です。アンタレスも火星も、赤い色をしていて似ているし、火星がすぐそばを通るので、実際に見間違いしやすい星です。
ベガ(恒星) 七夕の「おりひめ星」です。
「ベガ」は一等星の元になった星です。この星の明るさを0等として、他の星の等級も決められました。ちなみに肉眼で見えるのは、いなかでも6等星ぐらいまでで、1等星は6等星の100倍の明るさです。
夏の大三角
(星のならび)
「ベガ」と「アルタイル」と「デネブ」をつなぐと、直角三角形になります。
これを「夏の大三角」といいます。都会の空でもよく見えますよ。
アルビレオ(恒星) 白鳥の口先には、「アルビレオ」という、とってもきれいな二重星があります。望遠鏡で見ると、オレンジとエメラルド色の二つの星が並んで見えます。観望会に参加する機会があったら、ぜひ見せてもらいましょう。「アルビレオ」とは、くちばしを意味しています。

北極星の見つけ方:
北斗七星の7つの星の水を汲む方からA,B,C,D,E,F,Gとして、AB を、約5倍延ばしたところに、北極星が見つかりす。
カシオペヤの5つの星を、A,B,C,D,E として、AB と DE を伸ばした交点から C 方向に、約5倍延ばしたところに、北極星が見つかります。

おまけの話

星団や星雲、銀河、天体(下記以外にも、山ほどありますが、極めてメジャーなものを挙げておきます。)

二重星団(散開星団 ペルセウス座)
ペルセウス座にあるhx(エイチ・カイ)と呼ばれる星団のペアです。大きさも明るさも似ていてそっくりなペアですが、密集度の高い方がhです。xの方にはオレンジ色の星も見えます。望遠鏡で倍率を上げすぎると片方しか見えず、二重星団の良さがわかりません。40倍以下(接眼鏡の視野にもよりますが)で見る方が良いでしょう。大きめの双眼鏡だととてもきれいで華やかです。(都会ではやはりショボイです。)
(h視直径36分、実直径77光年、距離7330光年 実視等級4.4等 星数350)
(x視直径36分、実直径77光年、距離7330光年 実視等級4.7等 星数300)

M31 アンドロメダ大銀河(系外銀河 アンドロメダ座)
私達の住んでいる太陽系は銀河系という星の集団に入っており、2000億個もの恒星が集まってできています。宇宙には銀河がこれまた2000億個ほどもあると言われています。アンドロメダ大銀河は、お隣の銀河です。お隣と言っても230万光年(光の速さで230万年もかかる距離)も離れています。アンドロメダ銀河にある星の数は2000億とも3000億とも言われており、銀河系よりも少し大きいようです。都会では望遠鏡で見てもほんのりぼうっとした中心核の部分しか見えません。田舎に行くと、肉眼でも見えます。
(視直径191x62分つまり3x1度、実直径13x4.1万光年、距離230万光年、等級4.4等)


NGC7293(惑星状星雲 みずがめ座)
超大型惑星状星雲です。リング星雲と言えば、こと座のM57が有名ですが、これもドーナツの形をしています。巨大なドーナツです。らせん星雲という呼び方もあります。満月の半分ぐらいもある大きさなのですが、残念ながらあまりに広がってしまって、淡くなってしまった星雲です。望遠鏡でも大きすぎて全貌がわからなかったりします。惑星状星雲としては極めて近い所にあります。
(視直径900x700秒つまり15x13分、実直径2.5x2光年、距離580光年 写真等級6.5等)

M15(球状星団)
ペガスス座の馬の鼻先に、ニンジンのようにぶら下がる球状星団(浅田秀夫氏著)です。ヘルクレス座のM13よりも一回り小さな、密集度の高い星団です。光害地では望遠鏡でも、恒星と見間違えられそうです。
(視直径7.4分、実直径88光年、距離4.9万光年、写真等級5.2等)

M2(球状星団)
みずがめ座の三ツ矢マークの西にある球状星団です。こちらも密集度の極めて高い星団です。
(視直径8.2分、実直径104光年、距離5.2万光年、写真等級5.0等)

M8(散光星雲 いて座)
干潟星雲で有名な大きく明るい散光星雲です。南斗六星の西にあります。1.5度ほど北に三裂星雲のM20が見えます。M8とM20は周辺の星々とセットで、八の字を倒したように見えます。
(視直径60x35分、実直径44x26光年、距離2500光年)

M20(散光星雲 いて座)
M8の北1.5度ほどのところにある散光星雲で、星雲が暗黒帯によって3つに引き裂かれたように見えることから、「三裂星雲」と呼ばれています。
(視直径29x27分、実直径18x17光年、距離2200光年)

M17(散光星雲 いて座)
都会を少し離れれば、小口径の望遠鏡でも見る事のできる星雲で、形から「オメガ星雲」「白鳥星雲」「馬蹄星雲」など、たくさん、ニックネームを持っています。天の川に浮かぶ白鳥のようで、とても美しい星雲です。写真では赤く写るので白鳥でなく赤鳥でしょうか??
(視直径46x37分、実直径43x35光年、距離3300光年)

M22(球状星団 いて座)
M13やM5をしのぐ大球状星団で、実直径は110光年と、M13よりもひとまわり大きい上に、距離も1万光年と、球状星団としては比較的近距離にあるので、視直径がとても大きく見えます。また、近いが故に、密集度が低く、小口径でも球状星団らしく見えます。 
(視直径17.3分、実直径111光年、距離1万光年 写真等級 6.3等)


M27(惑星状星雲、こぎつね座)
惑星状星雲としては、とても大きく、見やすい星雲です。鉄アレイに似ているところから、「あれい状星雲」と呼ばれています。銀行のマークのようでもあります。
(視直径480x240秒、実直径0.87x0.61光年、 距離970光年、写真等級 7.6等)


M 57(惑星状星雲 こと座)
「リング星雲」や「ドーナツ星雲」の名前でおなじみです。都会でも、望遠鏡でぼんやりと見えます。タバコの煙で輪を作ったような感じです。
(視直径83x59秒、実直径0.87X0.61光年、距離2150光年 写真等級9.3等)

ダブルダブルスター(それぞれ連星 こと座)
こと座のε(イプシロン)1と、ε(イプシロン)2は、肉眼で見ると、一つ。双眼鏡などで見ると2つに見え、さらに、望遠鏡で倍率を上げると、それぞれが連星になっています。つまり、双子が二組並んでいるのです。かわゆい!
(ε1:  5.0等-6.1等 角距離2.53秒     ε2: 5.2等-5.5等 角距離2.36秒 ) 

M 13(球状星団 ヘルクレス座)
北天1と言われる、立派な球状星団です。天頂付近に南中するので、観察しやすい天体です。少し暗い空で、口径10cm以上の望遠鏡であれば、星がつぶつぶに見えるでしょう。大口径になると、立体的に見え、すばらしい眺めです。
(視直径10分、実直径98光年、距離2.2万光年 写真等級4.0等)



参考資料:誠文堂新光社 「天文年鑑」、「藤井旭の星座ガイド」、「藤井旭の天文年鑑」 立風書房 「星雲星団を探す」、
表現として、比喩など正しくないものがある場合、お許し下さい。(文責:あすとろけい)
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