今月の星空  〜初心者向け

2007年2月の星空案内です。

今年の冬は暖冬と言われていますが、空には例年と同じ星たちが輝いています。もっともお天気のせいで、例年ほど、きりっとした空が見えないのも確かですね。
冬の星座が南天から天頂に広がっています。星座がさがしやすいので、この時期をのがさず、星座を自分でえがいてみましょう。
冬の大三角、ダイヤモンドなども、ゆびでたどってみましょう。

今月は、土星が良く見えます。また、2月8日前後は、水星が良く見えます。日没のあと、西の空をよくみると、金星の下に水星が見えるかもしれません。金星はこれから高度が上がって来ます。楽しみです。

惑星達:
火星: 夜明け前にのぼってきます。まだ暗いですが、火星もこれからですね。
水星: 2月8日に、水星が東方最大離角(とうほうさいだいりかく)(*下の解説を見てね。)になり、西の空に顔を出します。
木星: 明け方東の空に見えます。
金星: 夕方低い位置に見えますが、これからだんだん、上がって来ます。
土星: 2月11日に、衝(*備考2)をむかえ、空高く、大変よくみえます。光度は0等です。

月の満ち欠け:
2日:満月  10日:下弦  18日:新月   24日:上弦

備考(びこう) 用語の説明をしておきますね。
東方最大離角(とうほうさいだいりかく): 地球から見て、水星や金星が太陽から東側にもっとも離れることです。水星や金星は地球よりも太陽の近くを回っているため、太陽の光で、見えない事が多いのですが、最大離角のときは、太陽から離れる分、見やすいということです。勘違いしやすいのは、東方だから東の空かと、うっかり思いやすいのですが、太陽より東側に離れているという事は、夕方、太陽が沈んだあとに、西空に見えることになります。
地球の外側をまわっている惑星などの太陽系の天体に使う用語で、太陽→地球→天体が一直線上に並んだ状態、つまり地球から見て太陽とは反対側にその天体がある状態のことです。


冥王星が、惑星から、はずされてしまった件については、こちらをごらんください。


↓星図は株式会社アストロアーツのステラナビゲータ(Version7)を利用しました



主な星の並びや目印、見つけ方を載せておきます。







↑ 2007/2/1/21:00  2/15/20:00  2/28/19:00の星空です。 (StellaNavigator/AstroArts Inc)
惑星については、15日の表示です。
大阪府高槻市の設定ですが、関西地方はもちろん、全国的に言っても、大方こんな風に見えます。
(視野全体が緯度や経度分、ずれる事になります。)


北斗七星
(星のならび)
ご存知、ひしゃくの形をした星のならびです。北斗七星は星座ではありません。星座はおおぐま座になります。水を汲む部分の淵の二つの星を五倍ほど伸ばすと北極星が見つかります。
デネボラ(恒星) しし座の2等星で、「ししの尾」の意味。デネブ(尾)+オラ(アラビア語の接尾語)がくっついてこの名前ができました。名前の通り、ししのシッポの所にあります。
レグルス(恒星) レグルスとは、「小さな王」という意味の、しし座の一等星ですが、1.4等で、一等星の中では最も暗い星です。78光年離れており、実際には太陽の130倍の明るさだそうです。
ししの大がま
(星のならび)
しし座の頭の部分が、かまの形に見えるところから、こう呼ばれています。クエスチョンマークを裏返しにしたようにも見えますね。
ポルックス(恒星) ふたご座の一等星です。
カストル(恒星) ふたご座の星で、ポルックスと仲良くならんでいるので、一等星のように見えますが、実は1.58等なので、ぎりぎり一等星に入れませんでした。(残念!)
更に、この星、実は1.9等のカストルAと2.8等のカストルBからなる連星で、さらにさらに、カストルA、カストルBともに、それぞれが2つの星からなる連星なのです。そして更にまたこの2つの連星を回るカストルCも連星で、つまり、カストルは六重の連星系になっています。
シリウス(恒星) おおいぬ座にある、全天の恒星の中で最も明るい星で、-1.5等です。太陽系からは8.6光年の所にあり、近所の星と言えます。
プロキオン
(恒星)
こいぬ座の一等星です。「プロキオン」というのは「犬の前、犬のさきがけ」という意味から来た名前で、シリウスの直前に出てくることから、そういう名前がついたのでしょう。
ベテルギウス
(恒星)
オリオン座は四つの星が長方形にならんでいて、とても分かりやすい星座です。その四つの星のうち、左上の赤い星が「ベテルギウス」です。源平合戦の赤い旗が源氏方なので、「源氏星」と呼ばれる事もあるそうです。
リゲル
(恒星)
オリオン座の四角を形取る星のうち、右下に見える白い星がリゲルです。ベテルギウスの「源氏」に対して、「平家星」と呼ばれたりするようです。
カペラ(恒星) カシオペアの東に黄色く輝く明るい一等星があります。ぎょしゃ座のカペラです。カペラは一等星の中では最も北にあります。
アルデバラン
(恒星)
おうし座の一等星です。アルデバランは、「後に続くもの」という意味です。 「すばる」の後を追いかけているように見えるので、この名前がついたようです。日本でも「すばるのあとぼし」の呼び名があります。考えようによっては、美女姉妹とも呼ばれるすばるの「追っかけ」あるいは「ストーカー」とも取れますね。 
冬の大三角
(星のならび)
シリウスとプロキオン、ベテルギウスの3つの星をつないだ三角を「冬の大三角」と言います。冬の大三角の中心にも、天の川が流れています。夏の天の川に比べると、とても淡いです。
冬の大六角形
(星のならび)
カペラ、アルデバラン、リゲル、シリウス、プロキオン、それにふたご座のポルックスをつないだ六角形です。いずれも一等星です。
オリオン大星雲
(星雲)
オリオン座の三ツ星の下に、小さな星が、たて一列に3つならんでいます。 この「小三ツ星」の中心の星の辺りは、望遠鏡で見ると、鳥がつばさを広げたような形をした、雲のような物が見えます。これが有名な「オリオン大星雲」です。とてもきれいで、すばる同様見あきない美しい天体です。
すばる
(星の集団)
清少納言に「星はすばる」と詠まれたり、車の名前になったり、はたまた歌でも有名な「すばる」です。すばるは若い星々の集団です。肉眼でも5〜6個の星がかたまって見えます。 肉眼でもきれいですが、双眼鏡で見ると青い星がいくつも輝いていて、さすが美人姉妹とよばれるだけの事はあります。すばるは日本の名前ですから平仮名で書きましょう。
アンドロメダ大銀河(銀河) ぺガススの四辺形の北東の位置、アンドロメダ座のひざ先の所に、アンドロメダ大銀河があります。2000億個〜3000億個の星の集団です。暗い空であれば、ぼおっとした物が肉眼でも見えます。
フォーマルハウト
(恒星)
南の空に「フォーマルハウト」という一等星が見えます。秋の星座は明るい星が少なく、フォーマルハウトは唯一の一等星です。
カシオペア(星座) 2等星と3等星の星が5個並び、「」、逆さまだと「」の形に見えるのが、カシオペアです。カシオペアからも、北極星をみつけることができます。

北極星の見つけ方:
北斗七星の7つの星の水を汲む方からA,B,C,D,E,F,Gとして、AB を、約5倍延ばしたところに、北極星が見つかりす。
カシオペアの5つの星を、A,B,C,D,E として、AB と DE を伸ばした交点から C 方向に、約5倍延ばしたところに、北極星が見つかります。

おまけの話

プレセペ星団は渡り鳥!
かに座のM44(プレセペ星団)は520光年ほどの所にある約600個の星の集団ですが、秒速41kmでいっかくじゅう座の方向に、そろって移動しています。星団まるごと移動していて、「渡り鳥星団」なのです。
ベテルギウスはダイエット中!
オリオン座のベテルギウスは、表面温度が低いので、赤く見えます。年老いて、不安定になった赤色超巨星の変光星なのですが、太陽の直径の700倍から1000倍の大きさの間で、風船のようにちぢんだり、ふくらんだりしているそうです。肥満でダイエットとリバウンドを繰り返している星みたいですよね。ちなみに明るさも0.4等から1.2等ぐらいまで変わるそうです。普通は0.4〜0.8等ぐらいを行ったり来たりしているようですが、数年置きにすごく減光するようです。そして、2006年10月あたりから、その減光期に入っているようで、ベテルギウスの隣の二等星(ベラトリクス1.6等)と変わらないほど暗いです。冬の大三角(シリウス・プロキオン・ベテルギウス)を形作る一つでもあります。周囲の一等星や二等星と比べてみましょう。
星団や星雲、銀河、天体(下記以外にも、山ほどありますが、極めてメジャーなものを挙げておきます。)

ミザールとアルコル (多重星 おおぐま座)
北斗七星の柄の先から2番目の星・ミザールは目の良い人ならすぐそばに4等星がくっついているのがわかります。この小さい方の星を「アルコル」と呼び、日本では「添え星」と呼ばれています。昔エジプトやアラビアなどでは、軍人になる際、視力検査に使われたそうです。
望遠鏡で見るとミザールにはすぐそばに別の小さな星がくっついています。さらに,ミザールも,まったく同じ明るさの2つの星が互いにまわりあっている連星であることで知られています。


M101(系外銀河 おおぐま座)
北斗七星の柄の先の星とミザールをつないだ線を底辺として三角を作ると、頂点位置より少し下に淡い銀河があります。渦巻き銀河を真上から見た状態の美しい銀河で,その見事な渦巻きから「回転花火銀河」と呼ばれています。写真で見ると、淡い腕の部分がきれいに渦をまいています。
(視直径29x27分、実直径19X18万光年、距離2250万光年 等級8.3等)

M 97(惑星状星雲 おおぐま座)
北斗七星の器の先から2番目の星・おおぐま座β星の近くに淡く丸い星雲があります。望遠鏡でよく見ると中に黒い部分が2箇所あり、ふくろうの顔のように見えます。その顔から「ふくろう星雲」と呼ばれています。すぐ近くにM108という細長い銀河も見えます。
(視直径203x199秒、実直径 7.34x7.20光年、距離7460光年 写真等級12.0等)

M81・M82(系外銀河 おおぐま座)
おおぐま座の後頭部あたりにならんでいる、銀河のペアです。倍率が80倍以下ぐらいなら、二つが同一視野に見え、偶然にも八の字に見えます。
南側(ハの字の右側)がM81で、渦巻きのわかりやすい向きなのに対し、M82は平たく(不規則銀河)中央がくびれており、案国体が入り組んでいます。
(M81視直径27x14分、実直径14x7.3万光年、距離1790万光年 等級7.9等  
 M82視直径11x4分、実直径5.8x2.2万光年、距離1790万光年 等級9.3等)


プレセペ星団(M44)(散開星団 かに座)
かに座にある星団で、春の訪れを告げるかのような星団です。月明かりのない暗い空なら肉眼でも見ることができます。双眼鏡で見ると星がパラパラとたくさん見えます。プレセペ星団は英語でビーハイブと呼ばれ、ミツバチが巣(箱)に集まっている様子にたとえられます。
(視直径95分、実直径13光年、距離510光年 実視等級3.7等 星数75)


M1 かに星雲 (散光星雲 おうし座)
おうし座の牛の角の先の所にある超新星残骸。 西暦1054年に超新星爆発を起こした星の残骸で、望遠鏡でみると、「かに」というより、「佐渡島」の形に見えます。
(視直径6x4分、実直径12.3x8.34光年、距離7200光年 写真等級 8.4等)


M42 オリオン大星雲 (散光星雲 オリオン座)
上記の主な天体でも紹介しているように、オリオン座の小三ツ星の真ん中にある大星雲です。星が生まれているところです。
中央に、トラペジウムと呼ばれる重星があり、4つ〜6つ(望遠鏡と条件が良ければ8つ)の星が、かたまって見えてきれいです。
(視直径66x60分、実直径25x23光年、距離1300光年)

M 35 (散開星団 ふたご座)
ふたご座の足元に視直径28分ほどの大きな散開星団があります。空の暗い所であれば、肉眼でもわかります。
(視直径28分、実直径31光年  距離2570光年 実視等級 5.3等 星数120)

M 36・37・38 (散開星団 ぎょしゃ座)
冬の散開星団トリオで、双眼鏡で流しながら見るのも楽しいです。ふたご座の方から、37・38・36と並んでいて、見つけるのは比較的簡単ですが、3つのうちのどれなのかが、意外にわかり難かったりします。慣れている人なら、ばらつき具合などでわかりますが、都会ではいずれも、パラパラ程度になってしまいます。(泣)
(M36: 視直径12分、実直径13光年  距離3780光年 実視等級 6.3等 星数60) 
(M37: 視直径20分、実直径27光年  距離4720光年 実視等級 6.2等 星数150)
(M38: 視直径20分、実直径21光年  距離3580光年 実視等級 7.4等 星数100)

シリウスB (シリウスの伴星 おおいぬ座)
シリウスには白色わい星の伴星がついています。8.5等級ですが、シリウスが明るすぎて、なかなか見えません。ただ90年代に比べると離れているので、シーイングや条件さえ良ければ、10cmの屈折望遠鏡で十分に見る事ができます。
(連星角距離6.07秒 位置角119.7°)

プロキオンB
(プロキオンの伴星 こいぬ座)
シリウスBを紹介したついででご紹介しておきます。プロキオンも白色わい星の伴星を連れています。10.3等です。
(角距離 4.15秒 位置角 97.0°)

二重星団(散開星団 ペルセウス座)
ペルセウス座にあるhx(エイチ・カイ)と呼ばれる星団のペアです。大きさも明るさも似ていてそっくりなペアですが、密集度の高い方がhです。xの方にはオレンジ色の星も見えます。望遠鏡で倍率を上げすぎると片方しか見えず、二重星団の良さがわかりません。40倍以下(接眼鏡の視野にもよりますが)で見る方が良いでしょう。大きめの双眼鏡だととてもきれいで華やかです。(都会ではやはりショボイです。)
(h視直径36分、実直径77光年、距離7330光年 実視等級4.4等 星数350)
(x視直径36分、実直径77光年、距離7330光年 実視等級4.7等 星数300)


M45 すばる (プレアデス星団)(散開星団 おうし座)
このページの上の方にも書きましたが、とても有名な若い星団です。この星団を構成する星たちは、生まれてまだ5000万年ほどしかたっていないので、青い色をしています。また、M45全体が、秒速約40kmで宇宙空間を南南東の方向に移動しています。々星間ガスから集団で生まれた星達が、遺書に銀河系空間を旅しているという事です。写真を見ると星のまわりの青いガスがよくわかります。
(視直径100分 実直径27光年 距離410光年 実視等級1.6等 星数130)

M31 アンドロメダ大銀河(系外銀河 アンドロメダ座)
私達の住んでいる太陽系は銀河系という星の集団に入っており、2000億個もの恒星が集まってできています。宇宙には銀河がこれまた2000億個ほどもあると言われています。アンドロメダ大銀河は、お隣の銀河です。お隣と言っても230万光年(光の速さで230万年もかかる距離)も離れています。アンドロメダ銀河にある星の数は2000億とも3000億とも言われており、銀河系よりも少し大きいようです。都会では望遠鏡で見てもほんのりぼうっとした中心核の部分しか見えません。田舎に行くと、肉眼でも見えます。
(視直径191x62分つまり3x1度、実直径13x4.1万光年、距離230万光年、等級4.4等)



参考資料:誠文堂新光社 「天文年鑑」、「藤井旭の星座ガイド」、「藤井旭の天文年鑑」 立風書房 「星雲星団を探す」、
表現として、比喩など正しくないものがある場合、お許し下さい。(文責:あすとろけい)
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