第一章
第一章:尾瀬へ行きたい
AYAKAの尾瀬デビュー
 ゴールデンウィークの翌週、弟のお嫁さんから嬉しい電話がかかってきた。

「彩夏が尾瀬に行きたいって言ってるんだけど、お義姉さん、すみませんが連れて行ってもらえませんか?」

「エー、本当?嬉しいー!OKだよ〜。そっか〜、彩夏と尾瀬に行けるの〜〜〜。」

 彩夏を連れて尾瀬へ行こうという話が出たのは、去年の夏のことだ。
3歳の彼女を膝の上に乗せて、尾瀬のホームページを一緒に見ていた時、確かオゼミズギクの写真を見ていた時だと思う…。

「彩夏ちゃん、黄色いお花だーいすきっ!尾瀬に行きたいなー!」と、彩夏が言ったのがきっかけだった。

「うん、行こう、行こう。」と私が軽く答えると、彩夏はすぐにキティちゃんの赤いリュックを二階に取りに行くものだから、参ってしまった。

「今日は行かないよ〜。尾瀬は遠いからね、電車に乗って、バスにも乗って行かなきゃいけないの。お母さんに行っていい?って聞いてから、お花がいっぱいの時に行こうね。」と答えて、話しを済まそうとしたら、彩夏の目が輝いていた。

「電車で行くの〜?」

彩夏が公共の乗り物大好き人間だということを、私はコロっと忘れていた。
まぁ、ひょうたんから駒とでも言おうか、少々不安はあるものの、考えてみれば彩夏と一緒に尾瀬へ行くという話はとても楽しい夢のような話だ。

弟の家に遊びに行くたび、近所の小さな森に彩夏と一緒に出かけるのも、私の潜在意識の中に、いつか彩夏と一緒に尾瀬を歩きたいという気持ちがあったからに他ならない。
私はすっかりその計画が気に入り、弟夫婦に「尾瀬はいいよ〜、自然は子供を育てるよ〜、彩夏は歩くの大好きだから大丈夫だと思うよ〜、ま、そんなに歩かせないから大丈夫!」と話した。

二人とも始めは心配そうだったが、子供の気持ちを尊重する主義なので、「じゃ、お願いします」ということになった。
そして、9月に一度予定を立てたが、その日は天候が悪くて中止し、結局尾瀬へ行こうという計画はそのままになっていた。 
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