展望車両に乗り込むと、旅行気分が高まった。窓が広くて景色を楽しめる。一般車両を見てないので比較は出来ないが、展望車両にして良かったと思う。
私たちの座席は、4人掛けの大きなテーブルの席だった。二人で向かい合って座り、早速ビデオと双眼鏡と「地球の歩き方」をザックの中から取り出して、テーブルの上に並べた。デナリを発って暫くはタイガ(北方針葉樹林帯)の森を通るので、もしかしたら野生の動物を見ることができるかもしれない。絶対に見逃したくないぞ〜と思うせいか、乗車して暫くは窓の外ばかり見ていた。


暫くすると、私たちの車両担当のパーサーがランチのオーダーを取りにやってきた。食堂車で食べる料理ってどんなご馳走かしらん?と、まだ乗ったことがないオリエント急行の食堂車を想像してちょっとワクワクした。それから約1時間後に名前を呼ばれて食堂車に行くと、内装は映画で見たオリエント急行並みの食堂車だった。わおっ、今度の旅行で初めてのご馳走だわ!と期待に胸がふくらんだが、手渡されたメニューを見ると、サンドイッチのコース料理が三種類用意されているだけだった。

「はぁ〜、またサンドイッチ?さすがにアメリカだよね…。」と妙に納得しながら、どのサンドイッチにしようかと悩む間もなく、二人ともキングサーモンのサンドイッチを選んだ。
「サンドイッチしかないって知ってたら、わざわざ食堂車を利用することもなかったけど、でも、アラスカに来たんだもの、サンドイッチとはいえ本場のサーモンが食べれそうでよかったね。」と話していたら、ウエイターが「キングサーモンは、今は扱っていない。」と告げた。丁寧な言葉で言ってくれたと思うが、空腹の私にはぶっきらぼうに聞こえた。
仕方なく、夫はターキーのサンドイッチ、私はハム&チーズのサンドイッチをオーダーした。高いだけあって美味しいサンドイッチだった。


食堂車から戻ると、パーサーが今どのあたりを列車が走っているかを説明していた。タイガの森を注意して見ていると、やはり、列車からカリブーやムースやキツネなどが見えることがあるらしい。私たちも、一度だけカリブーらしき動物を見た。それから、誰かが「イーグル!」と叫ぶ方向を見たら、ハクトウワシが飛んでいた。

 車窓から見えるタイガの森の間には大小の湿原が広がっていて、そこには浮島もあったりして、再び私の頭の中に尾瀬の景色が広がっていった。「風のない日の白砂湿原にそっくり〜」とか「アヤメ平に似てる〜」とか、何かしら独り言を言っていたような気がする。夫はやはりあきれていた。



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