嘉納杯国際大会:第一試合場


SINCE 2001/01/19

第一試合
赤 カン ピョンジン選手
白 高橋宏明選手

講道館杯100kg超級1位の高橋選手です。中央大学卒業ですからと年齢を確認すると、なんと一才年下。後輩ですね。試合は遠いマットだったのであまり見ていないのですが、カン選手と両者あまり攻められず、注意が先行したカン選手の反則負けで終わりました。切れ味のいい技を期待しましたが、お互いに硬かったのでしょうか。

後ろにいた人が「あの選手、反則負けする為に来たんだ、可哀想」と言っていたのが印象的です。とはいえ、この予選トーナメントは巴戦なので、もう一試合、カン選手にもチャンスがあります。高橋選手も勝ったとは言え、もうひとりのミハイリン選手次第では決勝トーナメントへ出場できなくなる可能性があります。


第二試合
赤 野瀬英豪選手
白 飛塚雅俊選手

両選手共に日本を代表するホープ選手で、階級が野瀬選手がひとつ下になります。飛塚選手はすぐ前の講道館杯で90kg級優勝、野瀬選手も81kg級3位と、ある意味で夢の対決でしたが、これも動きが少なく、反則負けで勝負がつきました。会場の雰囲気もやや重たく、このまま反則だけで試合が終わるんじゃないのかなという疑念が……

第三試合
赤 ベアー・セバスチャン選手
白 棟田康幸選手

棟田選手の試合を生で見るのは初めてでしたが、バランスがいいです、本当。その上、技も速いので見ていて気持ちがよかったです。内股も綺麗に決まり、一本勝ちでした。この試合はシード枠(欠場1)なので、一回だけで勝者が決まりました。棟田選手はこれで決勝トーナメントへの進出を早くも決めました。

第四試合
赤 オノラト・カルロス選手
白 ベルドゥタ・ビチェスラフ選手

シドニー五輪90kg級銀メダリストです。あの吉田秀彦選手を持ち上げた(結果として負傷させた)だけに、視線が集まりました。確かこの直前、12月のスペイン・マラガの世界学生柔道では無差別級に出場、3位に入っています。とはいえ、有効ひとつでの優勢勝ちで終わり、試合内容はほとんど覚えていません。

この後の小斉選手がオノラト選手とどう戦うのか、気になっていましたが、よく考えるとベルドゥタ選手は100kg超級の選手でしたから、あまり力負けしていなかったオノラト選手がすごかった試合だったんですね。

第五試合
赤 下出善紀選手
白 プロ・マヌエル選手

世界選手権で見て以来、結構、好きな選手です。キューバの柔道は比較的日本のそれに近く、ヨーロッパ選手よりは見ていて面白いです。それがまさかエントリーしてこようとは。60kg級の体格で挑む相手は、日本重量級の下出選手。相手が悪すぎます。体重2倍以上の相手に対して、プロ選手はなすすべもなく押さえ込まれてしまいました。軽量級では通じないのか、とこの試合の行く末が他の軽量級選手の姿を暗示しました。

この試合、そう言えば順番が違いますね。エジプトのバリー・アハムド選手が欠場で、トーナメント方式で次の順目になっていました。プロ選手、もし万が一、勝っていたら、決勝へ駒を進められたのです。

第六試合
赤 ケラワカ・ナカニエリ選手
白 猿渡琢海選手

すいません……横四方固めで猿渡選手が勝った姿しか……


第七試合
赤 高井洋平選手
白 ボール・ロバート選手

高井選手の試合を見るのは初めてですが、綺麗な腰車で投げ飛ばしていました。両方の畳が見える位置だっただけに、段々と印象が薄れていきます……ここもシードなので、高井選手はこの試合で決勝トーナメント、確保です。


第八試合
赤 安達春樹選手
白 バグダサロフ・アルメン選手

さて、再び重量級と軽量級の試合です。バグダザロフ選手はアトランタ五輪86kg級銀メダリストとありますが、今は100kg級です。対する安達選手は73kg級。試合展開は予想通り、ずるずると引っ張られ、技を防ごうとして反則を取られていく形です。バグダザロフ選手の小外掛けで試合が決まりました。


第九試合
赤 高橋宏明選手
白 ミハイリン・アレキサンダー選手

この試合、連戦となる高橋選手はやや不利でした。特に3試合も間が無い為(1順目に試合をしない組が3つ)に、試合間隔は短く、第一試合も五分間に近い時間を戦っています。講道館杯1位の実力を見たかったのですが、ロシアのミハイリン選手が警告で高橋選手に勝ちました。これでミハイリン選手がもう一勝すれば、決勝へ進めます。

第十試合
赤 オノラト・カルロス選手
白 小斎武志選手

講道館杯で鈴木選手との試合を見た際、小斎選手は独特な選手だと思いましたが、その理由がはっきりしました。まず第一に試合が始まった直後、本当に大きく両手を広げ、気合を入れます。第二に、試合が始まってもすぐに組もうとせず、独自のステップを踏みます。間の取り方が巧く、いやらしいというのでしょうか、シドニー五輪での73kg級金メダリスト、イタリアのマデローニ選手を連想させます。講道館杯では鈴木選手、この小斎選手の間合いを相当に嫌がっていましたし、苛立っていました。

対戦相手はオノラト選手。体重差は10kg程度ですから、充分、オノラト選手にも勝機がありえる範囲です。とはいえ、オノラト選手、想像していたよりも今日は「キレ」が無く、試合を自分のペースで運んだ小斎選手が優勢勝ちをおさめました。

小斎選手の決勝トーナメント進出と同時に、相手は棟田選手と決まりました。頭の中では既にストーリーが出来上がっていました。

『世田谷学園、先輩後輩対決』

会場にきてよかったなぁと、心から思えた瞬間です。

第一試合上の印象はこんなものでしょうか。遠かったのでやはりあまり覚えていないなぁと……


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