全日本選手権大会
第十一試合


赤:江上 忠孝選手

(九州電力←中央大学:2回目:九州地区代表:185cm・120kg)

白:井上 康生選手

(綜合警備保障←東海大学:7回目:推薦:183cm・100kg)
昨年篠原選手を破って優勝した康生選手の登場です。赤は、昨年の実業個人・講道館杯と、向川選手に苦手意識があるのか連敗を喫しているものの、嘉納杯2位、太平洋優勝と鮮やかな袖釣込腰でファンも多い江上選手の対戦です。

昨年、鈴木桂治選手は江上選手と対戦した際、その左釣り手を封じて勝ちました。今年、康生選手がどのように戦うのか、個人的に注目していました。

江上選手、組み手を弾きあい、昨年も見せたノーガードで顔を出す独特の形を見せます。そして左を持った瞬間、得意の袖釣込腰(背負?)で康生選手を持ち上げます。組み手が不十分で反対側に落ちましたが、すかさず審判団の協議がありました。その理由は次の局面でわかるのですが、「袖口に指を入れた」反則ではないかと、言うものです。結局は何も無く、試合は再開です。

康生選手は左で引き手を取りに行きますが、江上選手が右手で康生選手の袖を持ち、強引に右の袖釣で担ぎますが、これは腹ばいで落ち、ポイントになりません。流れが江上選手と思ったのですが、康生選手は左引き手を持ち、右釣り手を持った形が整った瞬間、右をあおり、江上選手を追い詰めます。さらに江上選手は袖口を絞ったとして、0:43、教育的指導です。

康生選手の引き手は江上選手の脇辺りを持ち、持ったらすぐ襟を取りに行く形です。持った瞬間内股をかけますが、これは外れます。

江上選手は康生選手の右釣り手を弾き、警戒します。康生選手は左を先ほど同様に確保すると、また右を取りに行き、掴むと前に前に出て、その圧力は尋常ではありません。

江上選手が左手で康生選手の釣り手の袖を持つのですが、まったく持ち上げられず、袖釣に入れません。鈴木選手とは違った形で、江上選手の左を康生選手は自分の組み手を保ちながら、ほぼ完全に封じます。

待てが入り、先に康生選手が袖を持つと、江上選手は袖釣の動きを見せますが入れません。康生選手も内股を出しかけますが、これは江上選手が釣り手を逸らさせます。横に動き、さらに江上選手の頭を下げさせながら、康生選手は足を払い、江上選手も大外の動きを見せ、康生選手は内股を出しかけたところで場外、待てです。

康生選手の組み手は右、それから左となり、間合いを確保するとすかさず内股、さらに動きながらのもう一度の内股で2:25、有効を奪います。場外に出てしまったので仕切りなおしますが、江上選手に、技が出ていないと指導です。

康生選手に釣り手を持たれながらも、江上選手は袖釣で左釣り手を持ち上げますが、捌かれてしまいます。さらにもう一度、江上選手の袖絞りについて協議がありましたが、ここでは無しです。

江上選手もなんとか袖を持ち、釣り手を殺して袖釣を出すのですが、これも担ぐにはいたりません。罰則への警戒心も、この段階では強まり(実際は1度だが、さらに2回、協議はされている)、思い切りよく出せなかったかもしれません。強引に大外、袖釣と行きますが、自分から崩れてしまいます。

江上選手が踏み込むと康生選手は大内を返したり、崩していく方向も前後左右と自由自在です。さらに大内で崩し、もつれ合う中、江上選手も大外、袖釣、さらに大内と出しますが、間合いが浅くなります。

康生選手は大内、大外、大内、さらには内股と、ほとんど休まずに攻め続けます。組み手がほとんど完全なので自分の間合いを保ち、相手にも技をなかなか出させず、攻めに集中できるようです。

江上選手は康生選手の頭を下げさせ、襟を持ちますが、これは場外に出てしまい、技を出せません。康生選手はさらに攻め、内股で腹ばいにさせます。江上選手に頭を下げさせ、江上選手は5:26、またしても袖口を絞ってしまい、注意です。

残り時間、江上選手は積極的に前に出ますが、組み手で間合いを作れず、そのまま時間切れとなり、井上選手の優勢勝ちです。

江上選手の切れ味のある袖釣で持っていかれてもおかしくないと、そういう展開があると考えていました。

しかし、康生選手がここまで江上選手と「真っ向から組み」、「自分の間合いにして」「相手に踏み込ませない」、ほぼ理想的な形で試合を運ぶとは予想していませんでした。危なげないところはほとんどありませんでした。

世界選手権のときよりも、さらに強くなっているのではないでしょうか? 階級が違うとは思えないほど力強く、この後の試合でも、そしてこの大会以降も、自分よりも重い階級の選手にも、組み負けない、組み勝てる力を持っていると見せた試合だったと思います。

組み合った上で動きが非常に多く、攻めも止まらず、見ていて面白い試合でしたが、それ以上に、本当に強いです。

11 江上 忠孝 × 内股(有効) 井上 康生

全日本トップへ戻る