全日本選手権大会
第七試合


赤:片渕 慎弥選手

(国士舘大学←国士舘高校:初出場:東京地区代表:172cm・120kg)

白:飛塚 雅俊選手

(新日本製鐵←東海大学:初出場:北信越地区代表:184cm・90kg)

無差別ならではの組み合わせが実現しました。若手のホープであり、東京予選では鈴木桂治選手から一本勝ちをおさめた片渕選手と、世界選手権代表・90kg級のトップ、飛塚選手の対戦です。

組み合う両選手 片渕選手は左、飛塚選手は右です。飛塚選手は片渕選手の肩や頭の上から、釣り手で背中を持とうとします。背中を持たれると片渕選手も持ち返し、互いに背中を持つ変則の喧嘩組み手です。

この形から片手で片渕選手が内股を出し、直後、引き手を持って飛塚選手が内股で片渕選手を浮かせます。片渕選手は積極的に寝技を出し、飛塚選手の股を押さえてひっくり返そうとしますが、待てです。

飛塚選手も寝技を仕掛けるなど、両選手共に攻めますが、引き手を持ち合えず、釣り手だけの動きで技を出し、互いに釣り手を動かし、腹で押すような形で、崩れたり、場外に出ることが続きます。

片渕選手は飛塚選手の脇の下に釣り手を突っ張って間合いを取り、飛塚選手はそれを嫌い、あおって外します。そして引き手を持てないと見るやすかさず襟を持ち、そこから飛塚選手は内股で、浮かしていきますし、別の場合には片渕選手が弾いて、上になります。

主審は片渕選手にのみ教育的指導を出しますが、これは副審二名が取り消します。飛塚選手は思い切りがよく、前に前に出ながら、跳ねるように相手の背中を持ちに行きます。

それも上からだけではなく、横から差すような場合もあり、密着しての接近戦を挑む姿が、体重差を感じさせず、前に出る強引さ・積極性が素晴らしいです。

片渕選手も要所で切り返し、小外でぐらつかせるなど、負けていませんが、この流れで場外に出たとき、飛塚選手が足を痛めたようです。この後、3回戦、4回戦と進んだ飛塚選手は道衣を直すときなど、審判に正座するよう促される際、片足を立てた状態で、ちゃんと正座できませんでした。しかし、ここからも飛塚選手の動きは止まりません。

飛塚選手の圧力を受け流し、自分も前に出ていく片渕選手は小内を出しますが、これは自分で転んでしまいます。しかし、この後も前に前に、圧力をかけ、試合の流れを作ります。
片渕選手の谷落1
片渕選手の谷落2(技あり) 残り時間2分、試合時間4:00、引き手を持ちに行った動きを戻りながら、奥の足を刈り、戻した引き手で足の辺りを持った谷落で、「技あり」です。
会場が大きく湧き、「このまま片渕選手か?」かとそんな考えも浮かんだのですが、4:25、脇の下から強引に背中を持った飛塚選手は、相撲のような「双差し」からの小外掛けです。

飛塚選手の小外掛1
飛塚選手の小外掛2 片渕選手に密着して捻り倒し、鮮やかな一本勝ちで、逆転しました。

飛塚選手の小外掛けに、会場から非常に大きな歓声と拍手が湧き起こりました。

07 片渕 慎弥 × 小外掛(4:25) 飛塚 雅俊

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