もうひとりの9回目出場、下出選手と、1回戦を豪快な払い腰で勝ちあがった村瀬選手との対決です。村瀬選手は大きく見えましたが、下出選手はさらに大きく、重量級同士の迫力ある対戦です。下出選手は昨年の全日本選手権3位、講道館杯3位、嘉納杯優勝の実力者です。尚且つ、昨年の全日本では棟田選手、講道館杯では高井選手と、若手のホープにもきっちり勝っています。 |
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引き手を先に持っていくのは村瀬選手ですが、下出選手が持ち返そうとするとそれを外し、間合いを計ります。下出選手は引き手を回しながら、持たせるように出して、持たれたら切るを三度ぐらい繰り返し、一瞬の隙をついて、自分から先に引き手を持つのに成功し、下出選手の攻撃が始まるかと思いましたが、これを村瀬選手は巧く切り、再度、引き手を抑えにいきますが、これも切られます。 再度、下出選手は腕を差し出すように引き手を持たせ、持たれたら即座に腕を回して、円を描くように自分の引き手を取ります。これは、下出選手の戦法のようです。映画『ベストキッド』を思わせるような、変幻自在の動きです。 |
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しかし、先んじて攻撃を仕掛けたのは村瀬選手です。体落しを繰り出します。これを下出選手は跨いで防ぎ、引き手が離れると先ほど同様に、誘いの手を見せます。今度は村瀬選手がその先を読んでおり、引き手を持つと同時に反対側に揺さぶる支え釣り込み足を出します。 これには下出選手も揺らぎますが、すぐ体を直して、がっしりと自分の組み手にして上からの圧力をかけます。村瀬選手は少しずつ頭が下がり、下出選手は大内刈りを出しますが、外されます。 |
両者、再度、組み手から始まります。下出選手は引き手を誘い、持たれるとすぐ持つ戦法で再び、引き手を掴みます。そして払い腰でしょうか、前に大きく踏み込みますが、これにあわせるように村瀬選手も前に並行移動して、動きを封じて、逆に小外刈りで足をかけていきます。 |
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次の局面、下出選手は自分の組み手にするとどんどんと圧力をかけます。内股のような動きを見せますが、これは村瀬選手が防ごうと足を上げます。そして内股を警戒させておいての大内刈り、これもバランスの取り方からいつ内股に変化するかもわからないような形で続きますが、村瀬選手は堪えて、足をつきます。 二回目の攻め手は巧妙でした。再度、内股を繰り出しますと、村瀬選手は腰を下げて、それを防ごうとします。しかし、下出選手はその足を思い切り跳ね上げようとはせず、降ろしながら、村瀬選手の右膝の後ろを軽く蹴るような感じで崩します。 |
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そしてその足で、村瀬選手の左足を思い切りよく大内刈りで跳ね上げていき、上体もぐっと引きつけてコントロールして、見事な『一本』を取ります。 前後左右に巧く崩している、流れのようでした。 |
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下出 善紀 | ○ | 大内刈り(03:41) | × | 村瀬 秀行 |