両者共に9回目の出場となる、大ベテランです。尚且つ、増地選手は3位を3回、竹村選手も1回。実力者同士の味のある試合が期待されます。竹村選手は33歳と選手宣誓をした岸田選手と同じく、最年長出場者です。 |
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竹村選手をコントロールして手前に動かしながら、小外刈りを出しますが、これを竹村選手は透かし、増地選手が体勢をすぐ立て直し、再度、主導権を握っている状態から、思い切りよく、膝をついての背負い投げを出します。 上から潰した増地選手ですが、竹村選手は機敏に下から身体を抜け出させて、あっというまに自分が上に乗っかって、寝技を仕掛けていきます。足を持ってひっくり返そうとしながら、攻め手を変えて絞めを狙いますが、ここで『待て』が入ります。 再度の組み手は同様に釣り手を持ち合い、引き手を争う形から始まります。竹村選手が持ちますが、増地選手がこれを切り、再度の組み手でも竹村選手が袖を持ち、増地選手が殺された引き手を切ります。 |
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ふたりはそれほど激しい組み手の攻防をせず、互いに持たせています。増地選手は引き手を持つと、すぐに小外刈りで竹村選手の身体を崩しますが、これは腹這いに落ちて、ポイントとなりません。 この後も少し似た流れで、引き手を持った途端、今度は竹村選手が背負い投げを再度出しますが、これは膝を着いた位置が悪く、『場外』です。 |
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次の局面では増地選手が巧く引き手を持ち、自分の組み手から踏み込んでの払い腰か内股かの動きを見せますが、これは竹村選手が回り込み、増地選手が出そうとした足の膝裏に、自身の足を当てるような感じで防ぎます。 再度の小外刈りはかかりましたが、竹村選手が足を抜いて防ぎます。増地選手が再度組み立てようとすると、今度は竹村選手が両膝での背負い投げを出し、これも先ほど同様、増地選手がこらえますが、またしても上になったのは竹村選手です。 竹村選手も、次第に引き手を持たせなくなります。何度か弾き、また自分からも持ちにいくと増地選手も切ります。増地選手が持って内股の動きを見せますが、場外になります。 |
両者、組合い、竹村選手が小外刈りを出しますが、増地選手は足を残した姿勢から内股を出そうとして、崩してから体落し、そして渾身の大内刈りを繰り出し、これはいいタイミングで入ったと思いました。 |
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組み手争いが厳しく、増地選手はここで組み手を切り替え、右手で奥襟を持ちます。しかし竹村選手は慌てず、背負い投げと見せかけて小外刈り、増地選手を崩して背負い投げと連絡しますが、これを増地選手が耐えます。 増地選手は距離をとってリーチを生かした足技で攻めたい、対する竹村選手は接近戦からの背負い投げ・小外刈りとなるのでしょう。互いに攻めを休めませんが、引き手を争う時間が増えます。 |
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増地選手が大内刈り、体落しと続けて攻め、それを耐えると竹村選手が今度は膝をつかない背負いを出します。増地選手はタイミングよくそれを読み、小外掛けを合わせますが、竹村選手は背負いの時の組み手を離さず、倒されながらも上体で捻り、増地選手を背中から落とそうとします。増地選手はこれを切って、逃れます。また上になったのは竹村選手です。 |
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残り少ない試合終了までの時間、竹村選手は背負い投げに活路を見出しますが、二度仕掛けた両方共に、増地選手が堪え、試合が終了します。判定は赤三本で増地選手が勝利しました。 竹村選手の、投げられてからの動きが面白く、興味深い試合でした。増地選手は投げた後の動きに、相当苦しめられたのではないでしょうか。以前、柔道マンガ『帯をギュッとね!』で「投げられても上になる、『柔道センス』のある選手」が描かれていましたが、それを思わせる、竹村選手でした。 全日本選手権、奥が深いです。 |
増地 克之 | ○ | 旗判定(3-0) | × | 竹村 典久 |