全日本選手権大会
第七試合


赤:佐賀純一郎選手

(福岡県警←福岡大学:初出場:九州地区代表:175cm・100kg)

白:矢嵜 雄大選手

(明治大学←流通経済大柏高校:初出場:東京地区代表:178cm・90kg)

矢嵜選手は講道館杯や嘉納杯、全日本選手権東京予選でその姿を見ていますが、じっくりと試合を見たことがありませんでした。今回のような試合場がひとつですと、観戦に集中できるので助かりますし、このような全試合観戦記録、という試みも出来なかったでしょう。

吉田秀彦さんの後継者として、どこまで重量級を相手に戦えるのかに関心がありますが、何気なく、佐賀選手よりも上背があり、また体重差も10kg程度なので、今までの試合とは若干違う感じです。

矢嵜選手の内股

組み手は佐賀選手が右、矢嵜選手が左の喧嘩四つです。序盤から互いに釣り手を持ち合い、引き手を奪い合う展開になるはずですが、いきなり矢嵜選手は釣り手のみで内股を仕掛けます。これは相手を崩せませんが、再度、矢嵜選手は内股を出します。

この後、両者は膠着し、教育的指導が与えられます。釣り手から組み合う中、回りながら、矢嵜選手は三回目となる内股で、今度は佐賀選手を崩します。技としての効果は無かったのですが、矢嵜選手は寝技に入ります。そういえば、東京大会でも矢嵜選手はかなり寝技を多用していました。

仕切りなおしてからも試合の動きは、両者の喧嘩四つから始まります。数度の組合いの末、矢嵜選手は佐賀選手の頭を下げさせて、コントロールして引き寄せて、引き手も持ち、内股を試みます。しかしこれは佐賀選手が巧く回りこんですぐ体勢を立て直して、そのまま場外へ出ます。
技がまったく出ていない佐賀選手に、『指導』が与えられます。

釣り手を取る際、矢嵜選手の腕が上から佐賀選手の腕を殺していくような感じで、佐賀選手の釣り手を潰していきます。矢嵜選手が奥襟を持った腕で振り回して佐賀選手の動きをコントロールします。

佐賀選手が出した足払いを防ぎながら、大内刈り、そのまま足をあげて絡みつく内股へと変化して追い続けます。

矢嵜選手の大内刈り

堪える佐賀選手

それでも、佐賀選手は背をまっすぐ伸ばしたままバランスをとって後ろに下がり、先ほどの攻防と同じように足がかかったまま移動します。

ここで矢嵜選手は左足を佐賀選手の右足に絡めたまま大内刈りを出し、足をついてからは同じく佐賀選手の右足を掴んで倒しに行きますが、これも佐賀選手が外して、この長い攻防は終わり、組み手が再開します。
内股を見せようとしたのでしょうか、前に倒れていく動きを矢嵜選手は見せ、佐賀選手はこれを堪えます。しかしここで矢嵜選手は振り返り、大内刈りをしながら佐賀選手の左足を持ち、強引に浴びせ倒します。これはポイントになりませんが、矢嵜選手は再び寝技を狙い、『待て』がかかります。

矢嵜選手が倒しに行く

佐賀選手の内股

次第に佐賀選手はすんなりと釣り手を持たせないように、腕を弾いていきます。組際、今度は佐賀選手が内股を繰り出しますが、これは矢嵜選手が外して、倒れこんだ佐賀選手の上に周り、寝技を試みますが、これも『待て』です。

両者共に組合い、技を出していきますが、決定打がありません。大きな動きとして矢嵜選手の巴投げがありました。これは不発に終わりましたが、矢嵜選手は先に立ち上がり、寝技で後ろから締め上げる攻めを見せます。これも『待て』で終わります。

終盤は佐賀選手も負けずに、内股を出したり、足を払ったりと攻めていきます。そのなかで組際に放った一瞬の足払いが、最も有効に矢嵜選手の体を崩しましたが、これは素晴らしい反射神経で矢嵜選手がぐるりと回転して、難を逃れます。一本を取れて不思議が無かったタイミングなので、佐賀選手は非常に悔しそうな顔をします。

そしてここで、試合が終了し、旗判定で矢嵜選手が勝利します。

佐賀選手の足払い

腹這いになる矢嵜選手




佐賀純一郎 × 旗判定(0-3) 矢嵜 雄大

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