試合中の抗議


SINCE 2000/12/10
UPDATE 2000/12/24

(状況確認)

掲示板等の確認(どちらのポイントになったのか)を怠った、或いは、日本側の抗議のタイミングが試合中ではなく、試合終了後になったことについて糾弾の言葉が数多くありました。

現場レベルでもそうした声があり、講道館発行の専門誌『柔道』の12月号に、県柔道連盟所属の方からその旨の投書がありました。試合中に抗議していれば、審判団も「篠原選手の一本」に関して、協議するタイミングがあったのではないのか、という意見なのです。


(試合中に抗議した場合)

1997年パリ世界選手権で60kg級のカン選手(北朝鮮)は自らの『技あり』が、相手のレワジシビリ選手(グルジア)のポイントとなったことで敗者になりました。この敗北は『ポイントが相手のものになった』だけではなく、『それに抗議して、試合中に反則負けにされた』、極端な誤審の事例です。

(『試合中の抗議で反則負けで間違いない』とのご指摘を受け、『近代柔道』1998年3月号特集「審判を考える」に詳細があるそうですので、興味のある方はご覧下さい)

『試合中に抗議して反則負け』という実例を見ると、審判への不適切な干渉は『反則負け』を招きかねないと、言うわけです。

この問題に関してIJFは後日、審判員を資格停止の処分にしました。さらにIJF内のホームページ文書では、このように誤りを認めています。

From now on, the key of Judo development is the matter of referee
In this Paris World Championship's Men's Under 60kg category, 4th match between Kang of DPRK and Revazishvili of Georgia, Kang who might have been the winner became the loser because of referee's error. It can be explained later in detail separately, but it symbolized the level of refereeing at the Paris World Championships. Mr. Yamashida, Japan's head coach who also saw that match said, Judo must not be like this.

試合中の抗議に対して、明確な罰則が、ルール規定に書かれている、というわけではないようです。『第27条補足』APPENDIX Article 27 - Prohibited acts and penaltiesには、このようにあります。

Referees and judges are authorised to award penalties according to the "intent" or situation and in the best interest of the sport.
『主審と副審は意図または状況によって、そして競技の最適な利益の為に、罰則を与える権利を付与されている』とありますので、自分の想像する範囲では、これだけが『試合中の抗議がthe best interest of the sportを損ねる』として、反則負けを与えられる、そのように判断しています。

(事実確認)

上述の『第27条補足』以外に、根拠があるとすれば、試合中の抗議に関して、今回のオリンピックでは以下のように、IJFから5月27日イタリアでの理事会で決定された事項が通知されていました。この効力は『to ensure the future success of related events』の下りから、今後のすべてのイベント(筆者注:オリンピックに限らず、IJFが運営する以降のイベントが含まれているかもしれない)を確実に運営する為に、定めたとの序文から始まります。
Olympic Guidelines for IJF Officials

3) Coaches activities :
It is to be reminded that the opportunity, granted by the IJF Congress 93 to the coaches, to be seated close to the mat is to allow them to give technical information and advice to their competitors. In no case, whatsoever, should coaches interfere with decisions or comments made by referees or disturb the general organization of the IJF events.


これによればコーチは試合中、以下のようなことしか出来ません。

○技術的な情報とアドバイスを与える。
○禁止事項
 1:審判の決定とコメントに干渉すべきではない。
 2:IJFのイベントの運営組織を乱すべきではない。


この文章には『すべきではない』行為が書かれており、その該当行為(受け入れがたい行い)をした場合の制裁処置も3) Coaches activities :の上にある、2) Unacceptable Behaviourとして規定されています。受け入れがたい振る舞いをした人に聞き取りを行い、(その結果によって)以下の制裁が科せられるかどうか、決定されます。

The sanction can be for the event, several events:


a) a ban of participation in one or several Judo events (championships, congress, seminar, etc.) in any capacity whatsoever.
b) suspension from any competition for a period of 6 months to 4 years.
c) a minimum fine of USD 500.
In case of probation : procedure must be made immediately in case of probation violation and the sanction will start on the date the decision is made.

制裁処置は該当する行為を行ったイベント、それ以降の複数のイベントの間、効力を発揮する

a:どんな立場・資格があろうとも、ひとつもしくは複数の柔道イベント(選手権、協議会、講習会など)への参加を禁じる。
b:6ヶ月から4年の期間、いかなる試合も停止する。
c:最小で500アメリカドルの罰金
(筆者注:IJFは基本的にお金の単位をアメリカドルにしています)
執行猶予の場合:違反行為が確定していない場合、訴訟の手続きは即座に行われなければならず、制裁は訴訟の判決が下ったその日から開始される。(筆者注:法律の専門家で無いので翻訳の意味が通っていないかもしれませんが、お許しください)

(審判マニュアルの影響力)

翻訳ミスでしたので、この部分は事例に値しないと削除します。

(斉藤コーチは気づかなかったのか?)

但し、斉藤コーチが抗議をしなかった理由が「気づかなかった」或いは、「反則負けにされるから」というものかといえば、そうでもない可能性も指摘されました。この辺は自分では確認していない情報ですが、こうした情報があると付記します。

10月放送のNHKシドニー五輪特集では、ドゥイエ選手に『有効』が賦与されたとき、斉藤コーチが篠原選手に、「(ポイント)取られているぞ」と声をかけていたそうで、12月初頭の男子ヘッドコーチ就任のとき、「あそこから巻き返す方が大事。篠原ならやれると信じていたから…」と答えたそうです。

尚、別の視点ではこちらの有名なコラム(作者さんの本は書店で売っています)に、朝日新聞紙上で、斉藤コーチが「相手の反則について怒鳴り続けると自分が退場処分になる」とコメントしたエピソードが載っています。こうした点を考えると、もう一度、何があったのか、誰がどのようなコメントを出したのか、整理する必要がでてきましたが、ここではこれ以上、扱いません。

(この問題の本質)

斉藤コーチが掲示板を確認しなかった、或いは気づきながら何もしなかった、「勝てると楽観視していた」点は責められるかもしれませんが、たとえ気づいて抗議しようにも、抗議する手立てが用意されていなかったことを、理解していただけたでしょうか。尚且つ、罰則も用意されていたとの根拠は上で示せたと思います。

しかし、根本的な問題は試合中に抗議しなかったことではなく、抗議を許さない指示が徹底していたことである点は、間違いありません。その『指示』の原因は過剰なコーチによる試合への干渉を防ごうとする正しい意図でした。

『大会二日目にコーチの言動に受け入れられないものが見受けられるようになりました。ひとつはコーチの審判に対する抗議行動です。試合場の側の台上までかけのぼって抗議を続けたり、審判の傍に来て、抗議をする者が出ました。また優勝のよろこびのため国旗を持ち込んで振りかざすなどの行動もあり、IJFは理事会を開いて、このような受け入れがたいコーチの行動への対応を話し合いました』
(『柔道』11月号P34中村良三IJF教育理事の言葉から引用)

(IJFが大会中に行った対応策)

1:該当行為のコーチに対して質問
→反省の発言と文書による謝罪文をコーチ側が提出
←IJFから1日の出場停止処分

2:『コーチ、選手に対して節度ある行動を望む』通知を書面にて行う

3:IJFはルールに則り、運営している。ルールに異論があるのならばその国の連盟を通して改正を申し込めばいい。

4:コーチ委員会を設置してコーチの意見を反映させる場を作る(提案)
5:コーチサミットを開いて、コーチの意見を検討すること(確認)

(IJFの認識するコーチの抗議の原因)

『おおむね審判の判定、判断に対する不満の声から来ていると考えられる』(同、中村理事の記事より)

(常識的に)

考えてみれば、IJFがコーチに対する締め付けを行ったのは至極当然の行為です。なぜならば技のひとつひとつの判定に抗議の声をあげ、積極的に「かけ逃げだよ!」などとアピールするのは、あまり美しくない行為だからです。試合中、選手が相手の「かけ逃げ」「反則」をアピールする姿も競技上必要かもしれませんが、試合への集中力が切れ、思わぬ結果を招きます。

もちろん責められるべきは、反則を見過ごしていたり、不明瞭な基準により『場外注意』を取ったり、『一本』『有効』と主審副審の判断がわかれるなど、審判にあります。コーチの抗議の原因となる、審判が引き起こす判定の問題は整理するとこうなります。

1:反則を見過ごす・『創作している』

『かけ逃げ』(主観的判断)
『反則』(客観的基準)
『場外注意』(主観的判断)

2:判定への抗議

『技の大小』(主観的判断)
『どちらの技なのか』(主観的あるいは客観的判断、その両方)

主観的判断とは見る人で異なるものです。本来は明確な基準がある(審判規定)はずですが、その規定をどのように解釈するか、審判、コーチ、見ている柔道家の間でも結論はわかれます。シドニー五輪決勝での篠原選手の技に関して、『IJF最終解釈』と『当時の審判団』と、『全柔連』と三者三様、異なりました。

技の効果を判定する技術を自分は持ち合わせませんが、これだけ異なるとなると、答えとなる基準を設けることが不可能だと思います。無責任ですが、こればっかりはどうしようもないなと、諦めざるを得ません。審判を信じるしかありません。

野球で言えば、すべてのストライクとボール、アウト・セーフに抗議をするようなものではないでしょうか。もちろん競技が違うのですから適切な比喩ではありませんが、この場合、ストライクの判定は審判に委ねられています。それを前提に競技が成立しているのです。一球一球に、抗議をすることはまずありえません。

しかし、客観的基準は違います。誰でもわかるようになっています。「あの技は反則技」「片襟」「河津掛け」、審判以外も規定を読めば、解釈に困りません。そして「技」がどちらのポイントなのか、これを巡る解釈は「映像」に頼れますし、人間の目よりも映像の方が確かな場合があります。

野球の場合、『アウト』か『セーフ』か、映像は残酷なまでに証明してくれますし、相撲の場合も『どちらが速く落ちたか』、映像で証明できます。しかし、柔道の場合は難しいことに、『どちらの技なのか』は、『速度』でも『先に落ちた方』でもないのです。もちろんどちらの技かわかりやすい事例もありますが、『技が生きているかどうか』は『判定(主観的)』に含まれるのです。

「篠原選手の場合は両者無効」(IJF審判遠藤純男氏)、そうかと思えば試合場にいた 小野沢弘史審判は後日、映像を見て「篠原選手の一本」と言いました。同じく会場で見やすい位置に いた二宮和弘審判も、同様に結論を下しています。専門家の間で意見が分かれているのは、 『この時点での映像』が完全な証拠となり得ない点ですが、片方では『一本』の証拠となり、 片方では『双方無効』の証拠となるのは、どうしてでしょうか。映像はひとつです。

ここで僕が言いたいのは、『仮に主審が篠原選手一本を宣告していた場合、遠藤氏及びIJFは、双方無効としたか』という点です。ある意味で柔道の判定は出てしまったもの勝ち、疑わしくとも終わればそれまでで、如何に問題があろうとも、よほどのことが無い限り、出された判定を基準にして、後日の解釈が始まります。

主審の判定が出た後に、映像を見ている時点で、既に映像は『客観的』ではなくなります。 遠藤氏は『主審が篠原選手の一本』と宣告したとして、後日、『あれは双方無効だ』と口を酸っぱくして主張したでしょうか? IJFもあれだけ周到に、技の解釈を行ったでしょうか? それが僕の疑問に思う点なのです。一方では消されながら、一方では消されない技もあるのです。

難しいのでうまく説明できないかもしれませんが、この時点で『主審の判断が正しいかどうか』に重点が移っています。そして残念なことに、『主審がどのような根拠でドゥイエ選手の有効としたか』が今もってしてわからないにも関わらず、主審の判定を擁護する人たちは、現実を『有効という結果』に合わせる解釈をしている、ともみえてしまいます。

今後のことを考えるならば、まず主審が下した判断の基準を知り、(主審は10月19日『週刊文春』インタビューにて、『審判は正しかったと信じているか』との記者の問いに対して、『ノーコメント』を通して、その後もまったく判定の基準に関する台詞を述べていません)それが正当であるか否か、そこに判定の正しさを証明する根拠を置かなければならないはずです。なぜ「多くの人が問題にしたのか」という、原因がわからない以上、繰り返す可能性が高いのです。

『後日、ビデオを見たら自分の判断が誤っていた』
『何回見ても、別の角度から見ても有効だった』、
このいずれかの解答を主審が出させなければ、今回の問題の所在がわかりません。

『審判の質的問題』なのか。
『見える角度の問題』なのか。

主審がどのような経緯を経て判断したのか、それを明らかにすることに失敗したことで、 単純に『映像(見る角度)』だけで解決できる客観的問題を、複雑にしてしまったのではないかと、今はそのように思います。篠原選手への『誤審』は、現時点では判定が覆らないという状況下では『主観的問題』に分類される結果を残したので、ここでは『映像の客観性』と切り離します。

さて、脱線が長くなってしまいましたが、この客観的種類の『審判の判定』への抗議は、正当かつ、競技を守る意味で最も大切なことです。観客のような素人でさえも、審判の過失に気づいてしまうからです。そんな審判が競技を任されている、そのような競技に誰が関心を抱くでしょうか?

(IJFによる審判の質的向上)

コーチに抗議を起こさせない為には抗議を封じる規定だけでは無意味であると、IJFも認識しています。中村良三教育理事は雑誌『柔道』の中で以下のように、IJFがオリンピック期間前に行った行動をあげています。
1:審判委員の選考は厳選に厳選を重ねている。
2:審判セミナーも数多く行っている。

同時に、『それでも一向に解決しない』と述べています。

ここでふたつの選択肢があります。ひとつは解決するように努力することですが、これは現在進行中の事態に対して無力です。コーチの抗議は理事でさえ『一向に解決しないレベル』と述べ、コーチはそんなことよりも『現時点での質的向上』を求めているのです。当然、事態が生じるのであるから、コーチを納得させる方策・抗議に対する正当なプロセスをあらかじめ用意してしかるべきでした。

(審判委員)

主審、副審ふたり以外に、彼らの上位者である『審判委員』がひとり、もしくはふたり、審判に対して誤りを正したり、規定外の事態に対処する役割(第三十条『規定に定められていない事態』に、「本規定に定められていない事態が生じた場合は、審判委員会と協議の後、主審によって与えられた決定により処理される』)を持っています。

審判委員はIJF審判規定第15条『試合の開始』に、『試合を止める権利を持つ』、そして第17条『待ての適用』項目Jでは、『主審と副審、または審判委員が打ち合わせをしようとする時』、試合を止められることが記述されています。
→『柔道のルールと審判法』(大修館書店)

審判委員に関する規定は曖昧かつ具体的な役割が明記されていないぶん、不測の事態に対処できるようになっていますが、逆を言えば、何もしなくてもいい事にもなっています。

1997年パリ世界選手権のあと、この役職が見直されたとの文章を読んだ気がします。 今回、この自分の書いている文章はところどころで書き直されていますが、 その指摘と情報を下さった方から、"1.General remarks about the 1997World Championships"のRecommendationに、その記事があると教えていただきました。

Recommendations :
In exceptional circumstances where it is clear that the majority of the three referees have awarded the score to the wrong judoka, the IJF Referee Commission member will call the referees, ask their opinion, and the IJF Commission member will strongly give her/his opinion. It will still be the decision of the three referees on the contest area. In this case the IJF Referee Commission member must give a written report to be reviewed and for future references.


勧告:
三人の審判のうち多数が、間違った柔道家にポイントを与えたのがはっきりしている例外的な状況では、IJF審判委員会委員は審判団を呼びよせ、彼らの意見を聞いたうえで、IJF審判委員会は強く自らの意見を与えられる。しかし、最終的な結論は競技場にいる3人の審判が決定する。この場合、IJF審判委員会委員は必ず、見直しと将来的な参考の為に、成文の報告書を提示しなければならない。


同時に、『近代柔道』1998年3月号特集「審判を考える」で、ジム・コジマ理事は『返し技や捨て身技などで同時に落ちたケースは含まれない』と、述べているそうです。つまり、今回の場合も、「明瞭ではない」と彼らが判断すれば、介入の余地が無いのです。

同じくジム・コジマ理事は2000年『近代柔道』11月号にて、「審判委員が介入するようなクリアな状況ではなかった」「技の有効度に対する判定は審判個人に委ねられている」と、今回の状況を述べています。審判が判断を誤ったかどうかを判断するのもまた、同じ人間である「審判委員」という点が、今後にどのように改められるか、気になります。

全日本柔道連盟公式掲示板にて、管理人さんがシドニー五輪後の『世界ジュニア選手権』で『審判委員』の介入があったと、紹介されていますが、これも制度的には現状と同じである以上、透明性と公平性を尊重する意味では、明確な規定が求められます。


(審判の責任)

さて、審判マニュアルの方では『自分たちの考えに責任を持つ』べきと、審判が審判以外の要因に目を向けるべきではない、それは『資格欠落者』と何度も何度も口を酸っぱくしていっています。
The referee who continually looks at both judges after a call or the referee that looks to the judges before making a call demonstrates a clear lack of confidence, knowledge and ability. Some referees have a tendency to look over to the Referee Commission or to an examination jury. Again this indicates a lack of confidence.

Nothing will detract faster from one's presence than a demonstrated lack of interest. A referee that is more interested in the activities on the next contest area, looks around the competition hall after every matte call, or continually looks to the examination jury demonstrates weakness and a lack of presence.
書いてあることは『周囲の様子をうかがうようなことはするな』という当たり前のことですが、結構、冷たい文章だと思います。審判は己の判定に絶対の自信を持たなければならず、そうかと思えば、自らが万が一ミスをした際に介入してくれるルール的な補強を持ちません。

コーチを怒らせる『審判の誤審』のうち、『客観的基準』のものだけは、『審判委員』、もしくは『ビデオ判定』でその数を減らせるはずのものです。審判委員がミスを取り戻してくれる可能性もあるのですが、今回のオリンピックで審判委員が試合に介入した事例は、いまのところ自分の耳にはまったく入ってきていませんし、過去にも例があげられるほどの、数例しかないようです。


(審判委員会介入具体例)

詳細な情報募集中です。

1:1993年世界選手権(カナダ・ハミルトン)

(詳細不明)
→『柔道のルールと審判法』(大修館書店)

2:1998年アジア大会(バンコク)

(詳細)
女子63キロ級、木本奈美選手(住友海上火災)と王顕波(中国)の決勝戦、木本選手の「一本」が最初は時間内と認められ、審判団も立ち去ったが、審判団と審判委員会が話し合い、「時間外」、『一本の無効』=相手選手の優勢勝ちと判断を下す。
→2000年9月23日朝日新聞記事を要約


(結論と問題点)

現時点で、コーチが何も出来なかったのは仕方が無いとの結論が出されます。こうした問題に対する取り組みはどのようになされているのでしょうか? 日本側と、IJFの行動を以下に示しますが、日本を代表する中村良三教育担当理事がIJF朴会長から任されたとの話があるので、概ね日本の主張が通るのではないでしょうか。

(初期日本側提案)

試合後の抗議方法の確立を求める。
審判の質的向上を打ち出す。

(現在、提示された解決策)

A:中村理事

(コーチ問題)
あくまでもIJF側(運営サイド)の問題です。オリンピック後の総会で、中村理事が『コーチ』が集まっているときに、その意見を拾い上げていく方針を示しています。
(審判への抗議)
中村理事が提案していますが、詳細不明です。
(質的向上)
中村理事が提案していますが、詳細不明です。

B:日本側

(誤審削減策)
ビデオ判定導入の方向でレスリング・相撲など、既に取り入れている競技を調査、2000年12月福岡国際大会、2001年嘉納杯国際大会で試験的に導入を進めています。
(試合中の抗議)
不明です。
(質的向上)
不明です。

C:IJF審判委員会

コーチ取り締まり案

(総論)

コーチの抗議を減らすには、『審判の質的向上しかない』とIJFは活動していますが、その活動が結果を残せていない以上、『泥縄』的であると言わざるを得ません。現場は動いており、審判の質的向上がいつか実を結ぶとして、それまでの空白期間(つまり現在)には何度も何度も、審判のミスとコーチの苛立ちが繰り返します。

2000年10月の総会結果でもコーチ問題は認識されていますが、ルール面でコーチの抗議を受け入れる方法を確立していく方向には、進んでいないようです。あくまでもコーチが問題を起こさないように(つまり運営サイドの認識)コーチの不満を吸収していく、との考え方に思えます。

ですから、質的向上も打ち出しますし、コーチの不満も吸収しますが、試合中の抗議そのものを受け入れていく方向を、積極的には取っていかないようです。

(一般のアイデア)

問題を解決する手段は『ルール』を作成することです。日本でもどこでも、何かしらの社会問題を解決しようとすれば、最終的に法律で固めていきます。

試合後の抗議方法の確立を求める。
審判の質的向上を打ち出す。

これだけでは、単なる画餅です。

目に入っている提言は、『近代柔道』11月号、『柔道』11月号の記事です。時間がありましたら自分の意見も踏まえて、ご紹介したいと思います。

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