6月の実業団体で小室選手の所属する了徳寺学園と決勝を争ったのが、本田技研熊本でした。資料を見ると対戦相手の松尾選手は先鋒で鳥居選手と対戦しています。試合時間ぎりぎりまでポイントを許さず、残り時間10秒で効果を鳥居選手が取って優勢勝ちした記録が残っています。 初戦も巴投げで勝ち上がっており、動き自体も随分、切れているように見えました。注目の第二戦です。 試合前ですが審判の先生がなかなか来ず、両選手共に身体をほぐして、小室選手も念入りに身体をほぐします。 |
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さて、試合です。両者見合いながら、反時計回りに動き、松尾選手は一気に小室選手の奥襟を掴みます。両者共に真っ向から組合い、互いに引き手組み手を持って、攻防が始まります。 松尾選手は襟をがっちり掴み離しませんが、小室選手の頭を下げられません。小室選手が牽制の小内刈を先に出します。 松尾選手は小室選手の釣り手を頭や体重を乗せて切ります。そして今度は小内刈を大きく踏み込んで出しますが、小室選手は体を逸らします。 |
松尾選手は体勢をすぐに整え、再度、組み手の攻防が始まります。ここで小室選手は奥襟を掴み、自分の組み手にします。間合いをうかがいながら、0:34、小室選手は内股を出します、これは松尾選手が釣り手を外して肘を押さえ、巧く防ぎます。小室選手を潰して、上から寝技の体勢に入りますが、無理に攻めないで、「待て」です。 |
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二度目の攻防、先に襟を持ったのは松尾選手です。今度は互いに組んでからも離れ、組み手争いを数度繰り返し、小室選手も襟を持ちます。 先に小室選手が小外刈を1:16に見せますが、松尾選手はこれをしのぐと、今度は1:21、大外刈をかけ返します。 |
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これで「効果」を得て、ポイントで先行しますが、小室選手、寝ている姿勢から立ち上がろうとした松尾選手の左足を抱え、1:26、自分の左足で右足を払います。松尾選手は背中から落ちないように体をひねり、膝をついて再度、立とうとしますが、小室選手は逃さず、下から引き込んで松尾選手を前に倒します。 |
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下の姿勢から背後を取り、動きを全く休めず、再度下に回って絞めを狙いますが、松尾選手はこれを耐え切って立ち上がり、「待て」です。大外刈を受けてから実に19秒も続いた寝てからの攻防でした。 |
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3度目の攻防の開始、今度は小室選手が前に出ながら、先んじて左釣り手を持ちました。松尾選手は押されながらも引き手を切り、小室選手は右手で相手の襟を持ち、この流れを守ります。小室選手がそこから引き手を持とうとすると松尾選手は釣り手を巧みに動かし、しっかりとは掴ませません。 前に押し、横に動かし、松尾選手が前に出たところを2:12、巴投げを出します。松尾選手が上に乗り、ポイントになりません。 松尾選手は立ちますが、小室選手はこれを逃さず、2:17、寝姿勢からの巴投げで綺麗に返し、上を取ります。松尾選手は仰向けに体を入れ替え、小室選手はそこから腕を狙っているのだと思います。 |
松尾選手は仰向けに体を入れ替え、小室選手はそこから腕を狙っているのだと思います。 ここで極めたかったのでしょう、2:27、「待て」が入ると、小室選手、畳を少し叩いたように見えました。 |
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松尾選手がぱっと奥襟を掴み、攻防が始まります。争いの中、2:29、小室選手は内股を出しますが、先ほどと同じように松尾選手は小室選手の釣り手を逸らして防ぎます。 2:39、小室選手は巴投げを出します。松尾選手は体をひねって着地しますが、小室選手は再度、繰り出して投げきります。 |
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「寝姿勢からの投げ技」ではないかという場外観客からのアピールもありましたが、審判は「投げの中断」と解釈したのでしょうか、「有効」となり、ポイントで優位に立ち、今度は上を取って寝技が始まります。 足をロックされながらも得意技の「袖車絞」を出します。 |
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上体を極めながら足を抜いて、完全な形での押さえ込みを狙うのですが、松尾選手は足を抜こうと少し体が離れた隙間を見逃さず、ここで体を回転させ、耐え切ります。 この試合最大の山場かもしれない攻防で、今度も20秒ほど寝技が続きました。 |
残り時間1分弱です。両者、寝技での疲労か、警戒感からか、今度は慎重になって組み合おうとはしません。小室選手は引き手を持ち、釣り手が持てない形からも背負い投げを繰り出します。これは外れてしまい、松尾選手もすぐに立ち上がり、寝技の攻防へつながせません。 両者、再び立ち技で組み手争いをしますが、ここで試合が終わります。 小室選手の優勢勝ちとなりました。小室選手の寝技をよく松尾選手がしのいだ試合とも思います。松尾選手の立ち技での切れを封じ、自分の柔道に引き込んだこの試合も、小室選手が主導権を握っていました。 明記し忘れましたが、試合時間は通常の男子5:00ではなく、4:00で行われています。 これは試合数が多い為の、特別のルールだと思われます。 小室選手の準々決勝の相手は、大学の大先輩、内村選手です。 |