集合時間が来てマリリンのバスに乗ると、来た道とは違う道を観光しながらホテル・キャプテンクックへ向かった。市街だというのに、セスナ機をたくさん置いてある場所が数箇所あった。遊覧飛行を扱う旅行会社だそうだ。いつか、マッキンリー上空を遊覧飛行することができたらいいな思った。

マリリンが、希望があればレストランの多い5番街でもバスを停めるけど…と言ってくれたので、私たちはそこで降りることにした。財布の中には、田中さんに返してもらった氷河クルーズの代金350ドルが入っている。これで今夜は豪華な食事を食べるのだ〜。行き先は、シーフード料理が美味しいと評判の「グレイシャー・ブリューハウス」に決めていた。

グレイシャー・ブリューハウスはすぐに見つかった。
ビアレストランだそうで、広い店内は友人や家族連れのグループでとても賑わっていた。店に入ると、整理券代わりの大きなトランプを渡された。ハートの10だった。
「1時間くらい待たされるかもしれないよ。」と、田中さんは言っていたが、本当にきっちり1時間待たされた。待っている間にメニューを見せてもらい、オーダーするものを決めた。アラスカだもの、キングクラブとサーモンステーキは外せない。それに、夫はアラスカンビールも頼んだ。

ココナッツライスは不味かった。付け合せの野菜はまぁまぁだった。ビールもまぁまぁだった。
でも、キングクラブとサーモンステーキは超極美味だった。
夫は、「これなら、氷河クルーズが中止になったおかげだって思えるよ。」と嬉しそうだった。私はサーモンステーキを食べ終えた後に、「あ、写真撮っておけばよかった。」と気がついた。ちょっと汚い写真になってしまったが、キングクラブだけは記念に残せた。

テーブルで支払を済ませ、「満足、満足〜。」と言いながらお店を出てすぐに、デジカメを忘れたことに気がついた。
そうだ、キングクラブの写真を撮った後で出窓の所にカメラを置いたんだ。すぐに引き返して、座っていた席に行ってみたが見当たらなかった。

近くに居た若いウエイトレスに、「ソニー製のデジタルカメラをテーブルの窓のところに忘れちゃったんだけど…。」と話すと、「10分待って。必ず見つけてくるから。」と、頼もしい応えが返って来た。彼女は同僚達に聞きまわった後、私のサイバーショットを持って戻ってきた。そして、液晶画面で私が美味しそうにキングクラブを食べている写真を見ながら、笑顔で私に返してくれた。

 ホテルに戻ると、帰国の準備をしなければならなかった。
0時半に迎えに来てくれた田中さんの車でアンカレッジ空港に向かい、私たちはソウル経由で無事日本に戻った。
6日間の短い夏休みだったが、とても充実した夏休みだった。アラスカで半信半疑だったオーロラは、フィルムを現像した後でようやく本当にオーロラだったんだとわかった。
もし、貴方がオーロラベルト地帯に行くことがあれば、雲かもしれない…と思っても、迷わずバルブ撮影してみてくださいね。   おわり。

だらだらと長い文章をここまで読んでくださって、どうもありがとうございました。m(__)m


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